韓国では若者を視野に
そこまで計算が成り立たないというグループはありません。でも若者の行動は徹底しています。韓国では、若者の間で「流行っている」か「流行っていない」かが、経済全体を左右します。トップ企業はハイテク志向で購買意欲のある若者のニーズに迎合しようと躍起になっています。若者を対象としたマーケティングは、韓国で新しい局面を迎えています。
若者が重要な顧客ターゲットであるということは、韓国の携帯通信業界では随分前からよく知られています。携帯事業分野では、国の補助金を受けた大手財閥系「サムスン(三星)」の「エニータイム」というシリーズが「成人」という顧客グループで数年来先頭を走り続けています。けれども、若者に人気があるのはKTFやパンテックといった中小メーカーです。でもたいしたことはないのでは?そんなことはありません。高校生の86%が携帯を持ち、国民全体では72.9%が携帯を持っています。20歳から29歳という顧客層を見ると何と98%が携帯を持っています。韓国では若者層の獲得というのがスローガンになっています。こうして立ち上がったのは、韓国の携帯電話業界だけではありません。
将来のための潜在的顧客層
韓国では銀行も随分前から今の若者の考え方を理解する努力を続けています。若者文化のトレンドに合わせて韓国最大手の「国民銀行」は、2006年9月にブレイクダンス選手権を開催して、何千人という参加者が集まりました。
Bボーイング とも呼ばれるブレイクダンスは、ヒップホップのアクロバティックな技術と要素を採り入れたダンスですが、若者にとっては踊りの枠を超えた「ウェイ・オブ・ライフ」すなわち若者たちが目指す生き方そのものです。 保守的な社会から拒否され忌み嫌われるようになった「Bボーイング1」と呼ばれる若い失業者のグループは、1997年から98年までのアジア通貨危機2の際に地下鉄の駅や公共の場に集まってブレイクダンスで時間をつぶしました。ですBボーイングは多くの韓国の若者にとって保守的な社会と自分たちとを明確に区別する抗議のあり方として理解されています。
Bボーイのイベントに対するスポンサーの協賛はあまりたいしたことはありませんが、リアルタイムストラテジーコンピューターゲームのマーケティング規模には目を見張るものがあります。ここでも、将来の潜在的顧客である韓国の若者獲得をスローガンに掲げています。韓国携帯メーカートップのSkテレコムは、自らが運営するスタークラフトのプロチームで若者文化とのコンタクトをしっかりと維持しています。スタークラフトは人気があり、トーナメントは放映されて、プロ選手は芸能人並みの人気です。試合では、選手の一挙手一投足ごとに女性ファンを中心に熱狂的な歓声が上がります。スタークラフト人気はもの凄いもので、個々の選手やリーグや監督や広報宣伝マンがこれで生活できるようになるのは時間の問題といわれています。
サイバースペースでの出会い
インターネットの世界を覗いてみると、韓国の若者の影響力の凄さを実感します。爆発的にヒットしているのは「Cyワールド」でCyは出会いを意味します。
インターアクティブなブログとホームページがバーチャルな世界を創りあげています。ユーザーはミニホンピーズ(ミニホームページ)を訪問し合いコメントを残したり写真を交換したりします。ホームページそのものは無料ですが、アニメーションやグラフィックや音楽は有料です。例えばミニホンピーズで訪問者を迎える際のウエルカムソングは必須アイティムで、40セントからダウンロードできる最新の曲でイメージアップすることができます。Cyワールドでは月に600万曲が売れています。Cyをアクティブに活用している人の割合は30%ですが、その90%を若者が占めています。クロスマーケティングで考えてみますと、これがどれだけの利益を生むことになるのか想像がつきます。
Cyワールドの残り10%を獲得しようと、携帯メーカーはクーポン券やプレゼントキャンペーンを実施しています。これを何とか携帯にというように若者向けマーケティングはアグレッシブですが、これ以外にはありません。
スン・ヒー・ホン
韓国系の2世。ハンブルクで生まれ育ち、音楽学と音楽理論を履修しました。
韓国系の2世。ハンブルクで生まれ育ち、音楽学と音楽理論を履修しました。
著作権:ゲーテ・インスティテュート、オンライン編集部
2007年1月
















