持続的に: 生活する

スローフード-カタツムリマークを食べよう!

ロゴ;  Copyright: Slow Food Deutschland工業化の中で私たちの食文化は変化した。かつてその土地の多様な食材が鍋の中でおいしい香りを漂わせていた場所には、今では規格化された食品やファーストフードが並んでいる。「スローフード」というムーブメントは、地域の味が持つ多様性を再発見してこれを維持することに賛同するものだ。「危機に瀕している」食材や料理に対しては、カタツムリマークの認証が与えられる。

ファーストフードを食べる人は現代的-そのような暗示が広告によって行なわれている。その土地独特のレシピや古くからある料理法の伝統はそうして失われ、そこで使われていた野菜や生きものは文化的景観と共に消えていく。グローバル化、人々の移動、めまぐるしい変化の時代において、管理の行き届いた食料生産や食事を自分で丁寧に料理することなどは意味を失った。カタツムリ:食用カタツムリは冬の半年を身を覆った状態で、地中あるいは苔と石の下に身を隠しながら過ごす; Copyright: Slow Food Deutschland/Foto: Werner Rolf食を味わうことや栄養バランスのよい食事、伝統的食文化についてはもはや言うまでもない。現代の料理にはどの国にも共通したレシピが一つあるだけだ。ジャガイモは今日ではフライドポテトと呼ばれているし、子供はフィッシュスティックの形でしか魚を知らない。おばあちゃんのお手製ケーキはケーキミックスとしてスーパーに置いてある。古くからのレシピ、保存・調理法は私たちの台所から失われ、食は副次的なものとなり、料理は祝祭日のイベントとなっていく。

少ないものがより大きな意味を持つ

味覚神経が完全に発達するには、幼い時から色々なものを試してみようと思うことが必要だ。様々な香りや地域の味がわかるようになるためには、文字通り食べ物を舌の上でとろけさせ、くりかえし新しい味に出会わなければならない。幼児がはじめて食事をする際、最初の一切れをどうやって口にするかを観察すれば、意識的に食べるということが何を意味するかがわかるはずだ。しかし工業生産による画一的な食は、味覚神経をあっという間に退化させ、複合調味料や香料が、魚は魚の味がしてほうれん草はほうれん草の味がするようにうわべを整える。子供料理クラブ (スローフード・オルデンブルク; Copyright: Slow Food Deutschlandエコロジーの点から言えば無意味そのもので、味の点でも何の面白みもないにもかかわらず、全世界から輸入された大量生産品が、その地域の特産品を駆逐している。地元のリンゴに代わってニュージーランド産のリンゴ、自家製ジャムの代わりにエキゾチックな果物を使ったジャムが出回っている。グローバル化された商品の流通は食料品の値段を下げ、手作業で生産された地域の商品は価格ダンピングにはとてもたちうちできない。

12月にイチゴを食べるよりも、年間を通してバランスのとれた食事を

「スローフード」とは、とりわけ食材の品質と生産地に配慮しながら食べることを意味する。食べるという行為は、栄養摂取以上の意味を持つものである。スローフードを実践する人は、地元の食材と輸入食材を区別し、忘れられた野菜の種類についての知識があり、自分の買った牛ヒレ肉の産地がどこかや地元のチーズがどうやって作られるのかを知っている。 ウッカーマルクのバイオ肉屋; Copyright: Slow Food Deutschlandインスタント食品、保存料、電子レンジや冷凍倉庫は、地域の料理が昔からの伝統に従って貯蔵され調理されていれば不要になる。スローフードは広い視野で食材が生産される過程に目を向け、エコロジーの面で非のうちどころのない本物の食材を大切にする。食品についての知識があれば、食への意識が高まり、目の前の卵、チーズ、野菜が生産されている農場を知っていれば、食との関わりも密接になる。

ノアの箱舟に乗る者

「守っていきたいのなら、市場に出せ。つまり、食べよう!」というモットーを掲げ、いわゆる「箱船用の食材と料理」の商品化に尽力する生産者、加工業者、販売業者や飲食業者がスローフードの認証を受けている。「ノアの箱船に乗る」食材には、たとえば「ヴェットリンガーシャーフナーゼ」という遅摘みのリンゴや、「ブレーマーシェアコール(葉牡丹の一種)」がある。 まだらのベントハイム豚; Copyright: Slow Food Deutschlandすなわち、希少であるか絶滅に瀕している食材だ。しかし、これらは地域の料理に欠かせない大切な食材であり、地域経済の循環を活気づけることでその持続可能性にも貢献している。もちろん遺伝子組み換えとは無縁だ。消費者は、これらの食材をカタツムリのマークで識別することができる。カタツムリマークは、意識的に食べる、ゆっくり食べる行為を象徴するものだ。さらにこの運動は、生物多様性のための基金を通じて、有用植物と有用動物の世界規模での保護にも貢献している。

甘い生活を世界中に

スローフードの起源はイタリアにある。1986年、ローマのスペイン階段に隣接してマクドナルドがオープンした時、地元(左派)新聞のジャーナリスト数名が長時間にわたる食事会を催して、工業的・画一的な「速い」食事に反対する抗議行動をおこなった。それがスローフード運動の礎となった。1992年にはパリで締結された宣言に基づくガイドブック「オステリア・ド・イタリア」がドイツ語に翻訳され、その後まもなく「スローフード・ドイツ」が設立された。今日、スローフード運動は104カ国に約8万人の会員を抱えている。ドイツ本部はミュンスターに置かれている。

ン・ツラルバッハ; Copyright: Slow Food Deutschland

魚はただの魚、ではない

消費者は、意識的な購買姿勢を通じて、食品市場にプラスの影響を与えることができる。「カタツムリ」マークの他にも、生産方法や生産地、貯蔵に関しての情報を与えてくれる認証が数多くある。たとえばドイツの漁業は、エコロジー認定を受けた水産加工品を通じて、海洋生態系の維持と保護に貢献している。世界の海では、乱獲のため経済的に有用な漁業資源が危機に瀕している。漁業や水産加工品がエコロジー認定を受けることが持つ経済的な重要性は、国内・国外を問わず広く認知されるようになってきている。2005年2月には、アメリカでアラスカ・サケ漁業が海洋管理協議会(MSC)の認証を受けた。漁獲量150万トンのアラスカ・サケ漁業は、同種の漁業としては世界一の規模を誇っている。アラスカ鮭はドイツの魚の消費量全体の3分の1を占めている。この他、MSCの認証を受けた漁業は12あるが、これが今では世界の漁獲量の3%以上を占めるようになった。それらのなかには、アラスカ野生鮭、ニュージーランドメルルーサ(ホキ)、南アフリカメルルーサが含まれている。養殖分野では「ナトゥーアランド(オーガニック食品認定組織)」の基準に沿った数多くの認証がある。
エヴァ・マリア・レーファーマン
生物学士、フリージャーナリスト。ボン在住
翻訳:WORTwelt

Copyright: Goethe-Institut e. V., Online-Redaktion
2005 年 12 月

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