持続的に: 生活する

ロハス –マーケティング?流行?それとも新しい時代の始まり?

Weine aus aller Welt bei der Grünen Woche; Copyright: Messe Berlin GmbH国際緑の週間で紹介された世界各地のワイン 著作権:Messe Berlin GmbH 社会学者とマーケットリサーチャーの最新の判断によれば、「ドケチはクール」という時代は終わろうとしている。新しいトレンドの名はLOHAS(ロハス)。「Lifestyle of Health and Sustainability (健康的で持続可能な生活スタイル)」の略語であり、お金と消費ではなく、健康と持続可能性を中心とする生活スタイルだ。

着古したセーターに暗い顔つき、足をひきずるようにして自然食品の店をうろつき、野菜コーナーで品定めするだけのオタクの時代はもう過去のもの。「楽しければいいじゃん」という世代を苦々しい顔でうさんくさげに眺め、お茶をすすりながら彼らをこきおろしていたエコ主義者もほぼ完全に姿を消している。しかし「楽しければいいじゃん」世代も、もはや存在しない。いや、どうだろう?イデオロギーという深い溝に隔てられていたかつての敵同士は歩み寄りを見せ、いまや融合しあったように見える。そしてこの融合によって生まれた人気のライフスタイル。それがロハスだ。つまり、エコロジーと娯楽は、もはや相反するものではないのである。いまや、アーユルベーダのハーブティーを飲むことはカッコいいことで、お金に余裕のある人は俗世間を離れて修道院でオシャレな瞑想プログラムに参加する。かつては社会の片隅に生息していたいわゆる「エコマニア」と「秘教主義者」が、いまや社会の中心に躍り出ているのだ。ロハスな生活スタイルを実践する人々は、今日では「カルチュアル・クリエイティブ」または「ライフスタイル・エコマニア」とも呼ばれている。マドンナやジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツといった有名人もロハスで知られている。

ロハスの発見

国際緑の週間の自然食品マーケット 著作権:著作権:Messe Berlin GmbHこの新しいトレンドは1990年代の半ば、アメリカの社会学者ポール・H・レイによって見いだされた。レイは、およそ10万人のアメリカ市民を対象にアンケートを行なった。アンケートは、「本当にそれが環境のために使われるとわかれば、増税に賛成する」、あるいは「たとえそれが自分の負担になっても、女性が職場で男性と同等の権利と責任を担うことを希望する」といった見解に対して評価を下すことを求めるものであった。この調査の結果に基づき、レイはアメリカ国民を3つのグループに分けた。すなわち、保守主義者、モダニスト、そして「カルチュアル・クリエイティブ」。自身も「カルチュアル・クリエイティブ」に属すると考えているレイは、この3つめのグループを新しい文化、すなわち「インテグラル・カルチャー」と彼が呼ぶ文化の先駆者と位置づけた。論文「インテグラル・カルチャーの発展 」のなかで、レイはこのように述べている。「インテグラル・カルチャーを持つ人々は、社会の他の人々に比べて、観念的・精神的な価値を大切にする傾向がはっきりしている。彼らは人間関係に心を配り、人格を磨くことに努める。環境意識が強く、よりよい未来をめざそうとするあらゆる取り組みに対して、よりオープンな姿勢を示す」。

裕福な社会から、心地のよい社会へ

再生可能な材料で作られた Nouvelle joule コレクションのショー。 ベルリンメッセ「国際緑の週間」の体験農場にて 著作権:Messe Berlin GmbHポール・H・レイによる調査とは別に、シンクタンク・ツークンフツインスティュート(未来研究所)は 2004年に新しいレジャー市場に関する研究調査を行なっているが、ここでも「最も重要な新しいレジャータイプ」が紹介されている。すなわち、「モノにこだわらずに楽しむ」、「週末に存分に楽しむ」、「ウェルネスを求める」「スピリチュアルなものを求める」タイプである。この調査結果は、レイの描いた「カルチュアル・クリエイティブ」と驚くほど重なっている。つまり、ドイツでもアメリカと同じようなことが起きているというわけだ。これを受けて、同シンクタンク は 2007 年に今度は ロハスにターゲットを絞って調査を行なった。その結果、ドイツでは社会層と年齢層の違いを問わず、国民の 3 分の 1 に及ぶ人々の間に根本的な価値観の変動が生じていることがわかったのである。

この人々にとって、「自分用の家、自分用の車、自分用のボート」という考えは、もうそれほど重要なものではない。彼らにとってより重要なのは、自由な時間があること、クリエイティブかつ自分流のスタイルで生きること、そして自分を磨くことだ。彼らは楽しみ、贅沢もしたいのだが、その際にやましい気持ちになりたくはないのである。だから彼らは「公正な」製品、つまりエコロジーの面でもモラルの面でも問題のない製品を購入する。ロハス にとってのバイブルと見なされている本に、フレッド・グリム著の「ショッピングが世界をより良いものにする」がある。この本の中では、モラルの面でもエコロジーの面でも問題がないと著者が考える製品がリストアップされている。グリム自身は、ロハスというレッテルに対し批判的だ。「しかし、もしこのマーケティング概念によって、企業が倫理的でエコロジカルな製品に潜在している未開発のマーケットの存在に気づくのなら、それは市場に出回る製品のあり方を変えることにつながるかもしれない」。ツークンフツインスティュートは、2015 年までに、世界の消費市場はロハスによって席巻されるだろうと見ている

未来はすでにはじまっているのか?

すでに現在、企業は新しい時代精神に適応し始めている。世界で事業展開する経営コンサルティング企業マッキンゼー は、2006年のマッキンゼー・クォータリーに「社会問題が戦略になるとき」というタイトルの論文を掲載した。このなかで同社は企業に対し、現在展開中の状況が持つリスクとチャンスを見極めるよう求めている。社会的テーマとエコロジー的テーマに取り組まない企業に未来はない、と同社は警告するのだ。そうしたリスクがある一方で、「どのような未充足の社会的ニーズが存在しているか、消費者が新たに求めているものは何かに目を向ける」企業には、大きなビジネスチャンスを持つ新しい市場が開けると指摘する。アディダス、プーマ、スピード、リーボック、ウォルマート、カールシュタットクヴェレのようなグローバルプレイヤーが「クリーン・クローズ・キャンペーン」に参加したのはそのためだ。このキャンペーンは、衣料品製造の現場における人間らしい労働条件の実現をめざすものである。

フレッド・グリムは最新のトレンドを明確に指摘している。「ビルト紙日曜版でさえエコ洗濯機を抽選の景品にしているくらいです。この数ヶ月でどれほどの意識の変化が起きているか、みなさんにもおわかりになるでしょう。(...) ロハス、すなわち健康的で持続可能な生活スタイルの背後にあるのは、単なる流行ではありません。これは根本的な変化なのです」。ロハス がこの先数年の間に本当に世界を変えることになるのかどうかはまだわからない。もしかするとこの生活スタイルは、目下巧みなマーケティング戦略に利用され、後押しされているだけの一時的なトレンドに過ぎなかった、ということになるのかもしれない。

アンニャ・バーデイ
デュッセルドルフとケルンを拠点に活動する編集者・フリージャーナリスト
翻訳:WORTwelt

Copyright: Goethe-Institut e. V., Online-Redaktion
2007 年 6 月

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