キム・ソラ Kim Sora





キム・ソラは、人々の行動や振る舞いに深く根付いた社会の慣例を探究し、インスタレーション、ビデオ、パフォーマンスといったさまざまな手段で表現する。キムの物体やコンセプトの提示の仕方は、大抵の場合、展覧会場では解読可能な論理に欠けるものの、作家が最も大きな関心を抱いているのは、物やコンセプトを整えて形にする過程そのものであり、与えられた空間でたやすく読み解ける、出来上がった物語を描き出すことではない。彼女の作品の多くは編年順という従来の理屈を無視したものだが、《An irregular movement of one point to an indefinite destination》は、出来上がっていく流れにうまくのっている。このプロジェクトの始まりは、2015年1月にアート・ソンジェ・センターでのソウル展で発表された二枚の短い楽譜だ。長い時の流れを暗示するテキストから生まれたこの楽譜は、広島展で、よりはっきりと音楽のかたちをとるようになる。これは、場所を移り変わりながら成長する進行形のプロジェクトなのだ。ソウルでのプロジェクトを再生させた広島での出品作品には《A Talk A While》という副題がつけられ、サウンド・インスタレーション、ビデオ、ライブ・パフォーマンスからなる。キムは、パフォーマー、チョン・ヨンドゥとともに、音変換が可能な楽章を創作する。何百万年、何億年もの間、無数の嵐や爆撃などの災難を生き延びた広島の石から響く、言葉としての楽章である。同作は11月に広島で現地制作される。

 

1965年ソウル生まれ、ソウル在住。ソウル大学、エコール・デ・ボザールで学ぶ。主な個展ではに「Three Foot Walking」(シャーロッテンボー現代美術館、コペンハーゲン、2013年)、「Abstract Walking」(アート・ソンジェ・センター、ソウル、2012年)、「無題—」(アトリエ・エルメス、ソウル、2010年)、グループ展ではに「Once is Not Enough」(AV パビリオン、ソウル、2014年)、「Novelles Vagues」(パレ・ド・トーキョー、パリ、2013年)、「Playtime」(文化駅ソウル284Cultural Stations Seoul 284、ソウル、2012年)、「(Im)possible Landscape」(サムソン美術館プラトー、ソウル、2012年)など数々の展覧会で作品を発表。