新たな挑戦 インターネットにおける図書館の見せ方。図書館として何をネットに投稿するか?

インターネットにおける図書館の見せ方
インターネットにおける図書館の見せ方 | 写真:(detail) © stokkete - Fotolia.com

Goethe.deはドイツ図書館情報施設職能団体(BIB)会長でハンブルク図書館の責任者であるキルステン・マルシャルさんに昨今の潮流と展開について話を聞いた。

マルシャルさん、今年の司書会議は「世界を広げよう」が標語でしたね。どこらへんが重点だったんでしょうか?

学術図書館だろうと公共図書館だろうと、図書館はますますその重要性を増しています。と同時に、図書館はその課題と受容の面で、デジタル化という新しい挑戦を受けています。これが今回の司書会議の中心テーマだったんです。つまり、いかに図書館がサイバースペースで情報資料能力を発揮し、それを拡張してくことができるのか、図書館が実在の場としてどのように変わっていくのかということなんです。「世界を広げよう」という標語はこうした問題を指しているんです。今やパプア・ニューギニアから情報を受けとるのにも、本を棚から取り出してくるほどの時間しかかかりませんからね。

デジタル化で、公共図書館と学術図書館はそれぞれどの程度まで違った課題を持つことになるんです?

学術図書館におけるデジタル化は、学術資料の確保と恒常的な保存ということに尽きますね。公共図書館の場合、むしろ問題となるのは、これを本として仕入れるか、それともデジタルのEブックとして入手するかという選択なんです。予算が倍増するわけではありませんからね。電子メディアでたくさん蔵書を持とうとしたら、ほかの部分の削減を迫られる。同時にこの場合は、案内の徹底が求められるんです。利用者の一部は、勘違いして、公共図書館は何でもデジタルでしか入れなくなるから、Eブック・リーダーがないと使えなくなると恐れていますからね。そんなことにはなりません。

見えないものの提示

利用者はデジタル化のプロセスにも参加できるんですか?

デジタル化用の機器はどんどん使いやすくなっていますね。多くの公共図書館には、スキャナーが置いてあって、利用者が、おじいちゃんの戦時日記みたいなものを読み込むこともできるんです。もっともデジタル化の著作権やライセンスについては、はっきりしていない権利問題がたくさんあるんですよ。重要なのは、政治家に、図書館には電子メディアが印刷メディアと同じくらい重要だと認識してもらうことですね。ブレーメンでは市長のイェンス・ベアンゼンが、いわゆる「ブレーメン・アピール」に耳を傾けてくれました(編註:「ブレーメン・アピール」とは、司書会議の開会文書で、時代に即した資料提供の大枠条件を求めた宣言)。

Eブック蔵書が現実の場で見えるようにする新しいモデルはあるんですか?

たとえば書架のQRコードでEブックと直接リンクさせるという案が通りました。目的は、こうしたリンクでサイバー図書館の本もすぐ借りられるようにすることです。でもこの問題に関しては、わたしたちはまだスタート地点に立ったばかりなんです。重要なのは、旧態依然とした古びた図書館のイメージを抱いている人たちに、ソーシャル・ネットワークやそのほかのサイバースペースを使ってアクセスし、よいサービスを提供することで新しい利用者になってもらうことですね。

公共図書館のウェブ利用は、今や標準となっているんでしょうか?

公共図書館のなかには、ソーシャル・メディア・マネージャーのポストを設けるところが多くなってきました。2011年のベルリンの司書会議では、まだ図書館にはフェイスブックが必要かという問いに取り組んでいましたけどね。今では、どう自分たちの存在を見せていくのか、何をネットで投稿してくのかが話題となっています。ネットで退屈なものを見せても、意味がありませんからね。

現代型マネージメント

教育資料の提供者としての公共図書館の役割も、変わってきているんでしょうか?

Kirsten Marschall Kirsten Marschall | 写真:© Kirsten Marschall それについては、わたしたちの図書館は先駆ですね。ハンブルクの図書館では、たとえば幼稚園や小学校に、どううまくタブレットを教育に組み込めるか提案しているんです。ブレーメンで新機軸だったのは、絵本アプリでしたね。このアプリは「はらぺこあおむし」のような絵本の古典を、どこでも見られるようにするものです。これは幼児教育にとって重要となる流れですね。でも子供たちの一団が、ただタブレットを見つめるっていうことじゃない。いろいろな言語のヴァージョンがあるせいで、インタラクティブな可能性が開けてくるんです。言語の選択肢があるからです。トルコ語、ギリシア語、イタリア語の本をそれぞれ取り揃える必要もなくなる。これは幼稚園や小学校にとっても都合がいい。幼稚園も小学校も、幸いなことに、ますますマルチカルチャー化していますからね。
 
 
図書館は組織構造的にも変革期を迎えているんでしょうか?
 
どんなマネージメント方針が図書館にあるのかと5年前に訊かれたら、否定的な答えをしていたでしょうね。マネージメントという言葉自体が図書館では定着していませんでしたからね。今ではコントロール&イノヴェーション・マネージメントがあります。ほとんど図書館では、経営学や経済学を学んだ経営ディレクターがいます。わたしたち司書は、もう自分たちで何でもできるとは思ってはいないんですよ。専門能力を持つ人を図書館に入れるようにしています。

将来の場

利用者の自己選択については、どんな方針があるんです?
 
図書カタログには、ネットショップのアマゾンの顧客が知っているような要素がつけ加わるようになってきています。たとえば図書館は利用者がほかに興味を持ちそうなものを提案するし、利用者は本の表紙を見たり、タイトルにブックマークをつけたりすることもできる。図書館は、利用者を集め、つなぎとめておく必要があることを理解したんです。
 
ブレーメンの司書会議の結果、どんなテーマが将来的に重要となりました?
 
著作権、ライセンス、図書館の電子メディアの同列化の問題は、これから解決していかなければなりませんね。ブレーメンでは少なくとも、公共図書館の日曜日開館を検討するきっかけもつくれました(編註:ドイツでは店は日曜日・祝祭日は閉店するのが原則。ただし例外処置も可能)。これに関しても、法律上はっきりしてない部分をできるだけはやく解明する必要があるでしょう。そして重要性を増しているのは、図書館の建物と内部の空間です。ベルリンでは市民が、テンペルホーファー・フェルトに州立図書館が建つのを住民投票で阻止しましたけど、これはなかなか勇気のある行為ですね。でも次の問いは、どこに図書館を建てたらいいのか、あるいは今の図書館の建物をどう補修してうまく生かしていくのかということです。