「フタバから遠く離れて(第2部)」 見落とされたリアリティーを見せる

Nuclear Nation
Nuclear Nation | 写真:© Atsushi Funahashi

ベルリン国際映画祭では様々な作品を見ることができる。もちろん、それは映画館で上映されるような一般的な映画ばかりではない。

ベルリン国際映画祭では様々な作品を見ることができる。もちろん、それは映画館で上映されるような一般的な映画ばかりではない。ショートフィルム、美術作品としての映像、そしてドキュメンタリーも含まれている。そんな様々な作品を上映する映画祭の中で興味深いものを見つけた。それは船橋淳監督のドキュメンタリー作品、「フタバから遠く離れて(第2部)」。本作品は2011年東日本大震災で起きた原子力発電所事故で避難することになった双葉町の人々を映し出している。

双葉町が位置するのは福島第一原子力発電所のすぐ近く。町の全てが原子力発電所から20キロ以内に入り、その大部分は放射性物質によって汚染されている。現在では町への立ち入りが厳しく制限されており、住民の多くが住み慣れた土地を離れて避難生活を送っている。船橋監督がカメラで記録したのは、このような避難住民など双葉町の人々の姿。2012年に公開された「フタバから遠く離れて」では震災後1年間の様子を見せ、第2部となる本作は、その後の町民の姿を見せている。

双葉町の住民の状況や心境を記録

スクリーンに映し出されるのは避難所で暮らす人々、今も原子力発電所で働く人、震災時の町長、そして震災以後に新しく選ばれた町長の姿。避難所生活を送る人々が語るのは自宅に戻れぬ苦労。今も原子力発電所で働く人は危険と隣り合わせで働く意味について話す。そして現職や前職の町長は、国や県の意向に振り回され、町民への対応がままならい町政についての苦悩を吐露する。このように映画では町民の今の状況や心境を伝えているのだ。

本作では福島の原子力発電所の問題もテーマとしているが、多くの人が注目するこれらの問題は抑えめに扱われている。だが厳しい現実から目を逸らしている訳ではない。住民同士の対立、町民を無視するような国の政策、終わりが見えない避難生活といった福島の現実を見せている。本作は原子力発電所の事故によって起きた様々なことを、映像を通じて人々に伝えようとしているのだ。

そもそもテレビや新聞で福島について伝えられるのは原子力発電所のことが多い。放射性物質の汚染は多くの人の命や健康に関わるため、ニュースとなれば大きな注目を集める。だが事故が引き起こした問題はそれだけではなく、注目されにくい 問題も起きているのだ。今回の作品が伝えるのは、見落とされた福島の別のリアリティー。それはニュースで報道される福島しか知らないベルリンの人々にとって大きな驚きとなったに違いない。