ベルリンの演劇祭 政治と芸術の狭間

フランク・カストルフ演出の『バール』
フランク・カストルフ演出の『バール』 | 写真:© Thomas Aurin

毎年5月に開催されるベルリンの演劇祭テアタートレッフェン(以下TT)では、ドイツ語圏の劇場から選定した「注目すべき」10作品が3週間程の間に集中的に上演される。

2015年のTTのオープニングを飾ったのはエルフリーデ・イェリネク作、ニコラス・シュテーマン演出、難民問題のジレンマを扱った『庇護にゆだねられた者たち』だった。ちなみにTT外ではあるが、リミニ・プロトコルの新作『ヨーロッパお宅訪問』もまったく違った手法によってこの問題にアプローチしており、それぞれ観客側のこの問題に対する見解を問いかけるものとなっていた。

フランク・カストルフ演出の『バール』は、著作権上の問題により、今回を最後に以降の上演を禁止されたこともあり、その作品を最後に目撃する貴重な機会となった。ブレヒトの『バール』とはいいつつ、それと直接関係のない過激で暴力的なシーンが連続し、そこには激しくも緩慢な自己破壊衝動を読み取ることができた。
 

  • „Baal“ inszeniert von Frank Castorf; vorne: Aurel Manthei 写真:© Thomas Aurin
    „Baal“ inszeniert von Frank Castorf; vorne: Aurel Manthei
  • Die Schutzbefohlenen von Elfriede Jelinek 写真:© Krafft Angerer
    Die Schutzbefohlenen von Elfriede Jelinek
  • Common Ground von Yael Ronen 写真:© Thomas Aurin
    Common Ground von Yael Ronen
  • Warum läuft Herr R. Amok? nach dem Film von Rainer Werner Fassbinder und Michael Fengler, Regie Susanne Kennedy 写真:© JU Ostkreuz
    Warum läuft Herr R. Amok? nach dem Film von Rainer Werner Fassbinder und Michael Fengler, Regie Susanne Kennedy
そしてスザンヌ・ケネディ演出『何故R氏は発作的に人を殺したのか?』はファスビンダーの映画を演劇作品としてリメイクしたもので、今注目の若手演出家であるスザンネ・ケネディの演出である。生身の人間とは思えないような極端にデフォルメされた人物たちが、限界まで張り詰めた緊迫した空気の中で崩壊していく様が描かれる。

同じくイスラエル出身の若手演出家ヤエル・ローネンの演出『コモン・グラウンド』は、ユーゴスラビアを中心とする紛争をテーマとして、加害者、被害者、部外者といったそれぞれ違った立場から「コモン・グラウンド」を見つけ出そうとする試みを描く。しかし政治的問題を扱ってはいても重苦しい雰囲気に陥ることなく、喜怒哀楽の激しい退屈しない作品に仕上がっていた。政治性が重要視されるTTの傾向に何らかの限界を感じているのであれば、『コモン・グラウンド』のような作品は一筋の光を投げかけ得るだろう。

政治と芸術の狭間で:ベルリナー・フェストシュピーレ・テアタートレッフェン2015評