日本初の技術力の低い人限定ロボットバトル「ヘボコン」が世界で

日本初の技術力の低い人限定ロボットバトル「ヘボコン」が世界で
© Hebocon/ Daiju Ishikawa

既存のロボットバトルは出場者同士の技術力を見せ合う場となるが、近年始まった「ヘボコン」は技術力よりもユーモアのセンスを重視したロボットが出場する大会。

子供から老人までが日用品など身近な素材を使って面白半分で作ったロボットを持参して、笑いとともに会場を賑わせている。その面白さはインターネットを通じて海外まで伝わり、ここ一年で世界各国で開催されるまでに。日本で発案された文化が海外に広まった現状を、発案者である石川大樹さんに話を伺った。まずは愉快な動画を見てほしい。

――2015年にヘボコンは何回開催されました?

「僕が把握している限り、2015年は52回ですね。日本国内だけで20以上で、僕が主催したのが7回です」

――そんなに! ではドイツでは開催されましたか?

「ドイツでは『カオスコミュニーケーションキャンプ』というハッカーフェスティバル内で開催されて盛り上がっていたようです。その後にライプツィヒのメイカースペース/ハッカースペース内でのイベントと、ベルリンのシングスコンというイベントであって、ドイツでは3回行われました。ドイツの方と開催についてメールでやり取りしていたら、たまたま日本に遊びに来て会ったんです。ライプツィヒのヘボコンに出したロボットを持ってきてくれて、『おみやげだ』ってロボットをくれたんです(笑)。しかも長旅をしているのでボロボロ。持って行く際に部品が取れてしまいましたね」

――ドイツ人ならではの個性がロボットにありましたか?

「ドイツ人は廃材やジャンク品を使いたがるんです。下は車の部品で、上はコーヒーメーカーのフィルターを乗せる部分を組み合わせてモーターを付けたロボットだったり、ドイツでは工業製品などの硬い物が多いですね。日本のロボットは、既成品のタミヤ(プラモデルメーカー)製品を使って、飾り付けは紙などの柔らかい素材が多いですね」

日本から世界へ



――国ごとに素材の文化的な違いが出ているんですね。普段触れているもので変わってくるんですかね。

「日本だと出場者は素人が多いので、細かく組み合わせるというのができなかったりしますね。ドイツのイベントでは、ハッカースペースの関係者など多少ものづくりに触れたことがある人が出場するので、力量の差もあるかもしれませんね」

――ハッカースペースは日本にはあまりないですね。ドイツはものづくりのコミュニティがあって、その中でイベントが形成される流れなんですね。

「僕もハッカースペースは詳しくないんですけれど、そういう感じでしょうね。地域によって異なっていて、アジアは大きな大会をやりたがるんですよ。香港や台湾は、公募して出場者を集めるイベントっぽいもの。アメリカやヨーロッパではハッカースペースなどの常連のお楽しみ会として開催するパターンが多いですね」

――海外の方が開催する際は、石川さんに連絡が来て資料を送るのですか?

「ルールブック、開催までの手引書、コンセプトの説明書をセットでメールして、あとは自由にやってくださいという流れですね。それとロゴデータを渡していて。バンコクで開催した時はロゴを国旗の色に塗り替えたり。インドネシアでは、動物をテーマにして開催して、動物のシルエットを組み合わせたロゴにしたり」
 ――今まで海外で一番集まった大会は?

「僕が知っている限りだと、台湾のメイカーフェア台北での開催が60チーム以上集まって最大でしたね。数が多いとトーナメントを組むのに結構時間が掛かりますね。一番小さい規模では5チーム。小さいのがあるのもいいですね、気軽な感じで楽しんでもらえて」

ロボットを通して表現する

 ――海外のヘボコンに行ったことはありますか?

「香港で開催されていた大会に行きました。香港は去年『雨傘革命』があって。簡単にいうと、香港の上層部が中国寄りの政策を取り始めたことに反対するデモだったんです。結局何も変わらず鎮圧されて終わったんですけど、まだみんな怒っていて。それで香港のヘボコンでは政治家をテーマにしたロボットが出たりしていて(笑)。政治家のスキャンダルをネタにしたロボットが出てきたり。風刺ですね。政治色の強いロボットが出てきたのは初めてだったのでびっくりしましたね」



――直接会場に行ったから、ロボットの細かい背景がわかったのもありそうですね。日本のヘボコンはカワイイカルチャーの影響が大きそうですね。

「はい。キャラっぽくするっていうのはありますね。コンセプト面よりもキャラクターとしてのバックグラウンドを考えたり。例えば、この前は二体セットになったロボットが出てきて『この二体は生き別れの兄弟だったんだよ』という設定があったり」

――日本はロボットアニメも多いのでロボットに対して親近感があるようですが、他の国は自分の命令を聞く道具のような距離感のようで国民性の違いがありそうですね。では、今後は世界大会を?

「それはけっこう本気で考えていて。今年、東京のメイカーフェアでワールドカップが行われる予定ですね。気合を入れるしかないですね」