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ドイツ発ドラマ、日本で放映へ
大都会のシンフォニー:バビロン・ベルリン

『バビロン・ベルリン』でゲレオン・ラートを演じるフォルカー・ブルッフ
『バビロン・ベルリン』でゲレオン・ラートを演じるフォルカー・ブルッフ | © Beta Films

昨今のドイツ発ドラマブームの中でもバビロン・ベルリンほど熱狂的な好評を博しているものはない。フォルカー・クッチャーのベストセラーミステリー小説を原作とする本ドラマの第1話では、ある警部のナイトライフ、そしてワイマール共和国時代の政治的混乱を追う。画面を見れば予算の大きさはすぐに目につくが、批評家が絶賛するのは贅沢な映画製作にとどまらない。2019年10月から本作は日本の無料放送BS12ドゥエルビで放映される。プレビューは9月20日、ゲーテ・インスティトゥート東京で開かれる。

マーク・トンプキンス

ドイツ語テレビドラマの類のないルネサンスの中、バビロン・ベルリンはドイツ国内外で大ヒットを記録している。90を超える国で放映され、その中には今までドイツドラマが到達することのなかったインドやアフリカ諸国も含まれている。10月からは日本の無料放送BS12トゥエルビでも放送される。

字幕で観る歴史ミステリーが、なぜこれほど多くの視聴者を魅了できるのだろうか?その答えは、作家と監督を務めるトム・ティクヴァ、アヒム・フォン・ボリース、ヘンドリック・ハンドレーグテンの手によって(『キャバレー』のサリー・ボウルズの表現を借りるならば)「ディヴァイン・デカダンス」が観る者をきっちりと「ハマる」ように仕向けるからだ。

旧友よ、キャバレーに来い

バビロン・ベルリンの冒頭は美しいが、災いを予感させるようでもある。ワイマール共和国の賢い再現には適した出発点だ。1929年、ケルン一の警部ゲレオン・ラート(フォルカー・ブルッフ)は、政治家を恐喝するポルノ作家を見つけ出す任務を帯びてベルリンの風紀警察に異動する。ラートはすぐに、ワイマール時代のベルリンで風紀警察官を務めることが、極めて有り難くない仕事であることを知る。経済危機と政治的混乱の10年を経て、ベルリンにはみだらな不品行の文化がはびこっていた。日中は左翼のデモ隊や武装した準軍事組織が路上で警官に怒号を浴びせ、夜は快楽に依存する人々が麻薬を求めてナイトクラブに群がる、猥雑な街だったのだ。

この容赦なく近代的なベルリンは、うっとりとさせるようでありながら同時に興ざめだ。

「バビロン・ベルリン」のオープニング・テーマ

「灰に、塵に」(仮訳;原題 „Zu Asche, Zu Staub“) 作詞・作曲:ニッコ・ヴァイデマン、マリオ・カミエン、トム・ティクヴァ 制作:ニッコ・ヴァイデマン、トム・ティクヴァ パフォーマンス:Severija Copyright: BMG Music, https://BMG.lnk.to/BabylonBerlinID
遺体安置所で、明らかに拷問を受けたように見えるロシア人の遺体を発見したとき、ラートは上司たちがそれに驚くほどに関心を示さないことに気づく。その遺体はのちに、スターリンの大使、性別の垣根を超えたナイトクラブの花形、そしてプロイセン貴族と将軍が絡んだ陰謀の最初の犠牲者であると判明する。

この都市の迷宮の中でラートにとって希望の光は警察のタイピスト、シャルロッテ・リッター、通称ロッテ(リヴ・リサ・フリーズ)だ。彼女の魅力が、ベルリン初の女性警部になるという野心を覆い隠している。恐れを知らないロッテは本当の労働者階級出身だ。 生まれ育った家の貧しさから、彼女は見境なしに金を稼ぐ。そしてそのために二重生活を送っている。毎週金曜日の9時から17時までは警察署で雑用をこなし、真夜中からはベルリンの売春街で身を売る。ベルリンのナイトライフに関する深い知識を持つロッテは、ラートにとって調査のパートナーとして理想的だった。彼女はラートを、一人では決して見つけられないであろう地元の住民のところへ導くこととなる。

三文オペラではない

バビロン・ベルリンの宣伝は当初、その予算に焦点が当たっていた。報道された4000万ユーロという額は、ドイツ語圏のドラマ史上最大だっただけでなく、非英語圏での最高額を記録した。

4000万ユーロを投じた甲斐はあったといえる。バビロン・ベルリンは豪華絢爛だ。制作陣がテレビの前の視聴者に1929年のベルリンを生き生きと見せるため、費用や努力を惜しまなかったことは、セットや衣装が与える感銘が証明している。セットの中でもとりわけ目を引くのが、アール・デコ調のナイトクラブ、モカ・エフティだ(当時の「ベルクハイン*」ともいえる実在の建物を元に作られたという)。エレガントな変装に身を包んだエキストラが、このクラブを埋め尽くしている。

さらにロケ撮影ではベルリンの街角が、目立ったCG補正を使わずに撮影されている。ドラマの7割はベルリンで185日間で撮影され、非常にリアルに感じられる。そして同じくらい強く感じられるのが、当時の雰囲気だ。ベルリーナー・ツァイトゥング紙が「最高の売春婦」という記憶に残るタイトルで映画評を掲載したのも、驚きではない。ドラマの制作陣は、ベルリンという街を、過去を陳列した博物館のようにではなく、生き生きと描く方法を知っているのだ。

 *ベルリンにある、世界で一番との呼び声高いクラブ

ギャラリー (ドイツ語のみ)

  • Liv Lisa Fries als Charlotte Ritter, Standbild aus der Serie „Babylon Berlin“, Foto: X Filme / Frédéric Batier © Frédéric Batier/X Filme
    Liv Lisa Fries als Charlotte Ritter / Standbild aus der Serie Babylon Berlin
  • Das legendäre Moka Efti / Szene aus „Babylon Berlin“ / Bild: X Filme / Frédéric Batier © Frédéric Batier/X Filme
    Das legendäre Moka Efti /Szene aus Babylon Berlin
  • Charlotte findet Gereon in der Strasse, Szene aus „Babylon Berlin“, Foto:  X Filme / Frédéric Batier © Frédéric Batier/X Filme
    Charlotte findet Gereon Rath bewusstlos in der Strasse / Szene aus Babylon Berlin
  • Volker Bruch als Inspektor Gereon Rath in der Serie Babylon Berlin. Photo by Frédéric Batier / X Filme © Frédéric Batier/X Filme
    Volker Bruch als Inspektor Gereon Rath in der Serie Babylon Berlin.
  • Tänzerinnen im Moka Efti, Standbild aus der Serie „Babylon Berlin“, Photo: X Filme / Frédéric Batier © Frédéric Batier/X Filme
    Tänzerinnen im Moka Efti /Standbild aus der Serie Babylon Berlin

どこかでフリッツ・ラングがほほ笑んでいる

バビロン・ベルリンは観客を、文化的・政治的混乱の渦中に据える。1920年代のドイツのポートレートでありながら、ヒヤリとするようなアクチュアルなトーンも含んでいる。しかしこのドラマはただの大衆文学にとどまらない。徐々に高まる緊張、最後までわからない展開、そして最高品質のアール・デコ調のレストランでの銃撃戦で飾られるクライマックスには、マイケル・マンも誇らしく思うだろう。

ドラマ全体を通して用いられている美術は、たいていの映画よりも実物に忠実だ。大戦間期のドイツ史についての知識は役には立つが、それは本質的ではない。近いうちにドイツを国民社会主義が席巻するという知識は、確かにドラマに大きな緊張を与えているが、作家陣は、歴史の評価を早々と下すことは避けている。

1929年春、ナチスは注目を集めようと躍起になっている過激主義者や狂信者にあふれかえる政治・文化風景の中のただ一派に過ぎなかった。「赤いベルリン」でナチスは1928年、票を獲得するために苦闘していた。このことを受け、全16話の大部分ではナチスは大きく出てこない。そして褐色シャツ隊(突撃隊)が最終的に登場した時、不穏な空気がながれ、緊張がさらに高まるのだ。

第3シーズンは、2018年10月に撮影が始まったという。 主要な登場人物とトム・ティクヴァ、アヒム・フォン・ボリース、ヘンドリック・ハンドレーグテンのクリエイティブな三人組が帰ってくる―――この知らせに、ベルリーナー・ヴァイセ(「ベルリンの白ビール」)で乾杯しよう。

『バビロン・ベルリン』が視聴できる場所: 

日本
    BS12(ビーエストゥエルビ)


ドイツ
http://www.xjazz.net/?s=istanbul+ ARD | Das Erste
http://www.xjazz.net/?s=istanbul+ Sky

『バビロン・ベルリン』に登場する役者陣が出演している映画

フォルカー・ブルッフ(ゲレオン・ラート役)
『君がくれたグッドライフ』(2016年)
『ジェネレーション・ウォー』(2013年)
『詩人、愛の告白』(2012年)
『ゲーテの恋 君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」』(2011年)
『ヒマラヤ 運命の山』(2011年)
『バーダー・マインホフ 理想の果てに』(2008年)
 
リヴ・リサ・フリーズ(「ロッテ」ことシャルロッテ・リッター役
『THE WAVE ウェイヴ』(2008年)
 
ペーター・クルト(ブルーノ・ヴォルター役)
『希望の灯り』(2019年)
『僕とカミンスキーの旅』(2017年)
『ヘビー級の心』(2015年)
『グッバイ、レーニン!』(2004年)
 
レオニー・ベネシュ(グレタ役)
『白いリボン』(2010年)
 
ラース・アイディンガー(アルフレッド・ニッセン役)
『ハイ・ライフ』(2019年)
『ダンボ』(2019年)
『マチルダ 禁断の恋』(2018年)
『ブルーム・オブ・イエスタディ』(2017年)
『パーソナル・ショッパー』(2017年)
『アクトレス 女たちの舞台』(2015年)
『HELL』(2012年)
『恋愛社会学のススメ』(2011年)