「スティルライブ」
小林勇輝のパフォーマンスアートのプラットフォームについて

© Lior Neumeister / Goethe-Institut Tokyo
「Still live」? "生"のパフォーマンスにまだ意味があるのか? 2019年9月2日から7日にゲーテ・インスティトゥート東京で開催された同名のパフォーマンス・アート・プロジェクトのそもそもの出発点となったのが、この問いかけである。2つの単語を繋ぐこの3つの「L」、それはこのプロジェクトを主導したパフォーマンス・アーティストの小林勇輝にとって、過去と現在をつなぐ蝶番だ。
「スティルライブ」のインプレッション | © Yohta Kataoka / Goethe-Institut Tokyo
1960年代から1970年代、西欧だけではなく日本の文化シーンもまた、パフォーマンスへの顕著な傾倒を経験した。従来のジャンルに新たな息吹を与えるべく、突破口を模索していた芸術家たちは、もはや静的な物質を用いるのではなく、生身の身体を表現媒体として用いることで、変化の速い新たな現実に反応しようとした。
それから50年後、日々の生活のデジタル化が進む中で、パフォーマンスアートはどのような可能性を持つのだろうか?身体を使う目的といえば主にスマートフォンの操作といった昨今、体液に満たされた傷つきやすく不完全な生身の身体は、もはや時代遅れとなるのだろうか?パフォーマンスアートは、昨今のジェンダーやセクシャリティを巡る議論とどのような関係にあるのだろうか?
現在日本のパフォーマンスアートとは

パフォーマンスに続いて、アート界から招かれたゲストが、日本社会の状況との関連に言及しながら講評を述べた。一方、ワークショップの参加者は、ワークショップの最中、時にはごく簡単な練習によって身体的知覚が覚醒し、自身の創作過程において極めて刺激的な体験だったと話した。パフォーマンスする身体の昨日、今日、明日を模索する試みは、2020年にゲーテ・インスティトゥート東京で、さらなる「スティルライブ」のプロジェクトを通じて続けられる。
参加アーティスト:
乾真裕子、遠藤麻衣、小林勇輝、小宮麻吏奈、佐野桃和子、関優花、武本拓也、仁田晶凱、浜田明李
運営:権祥海