ドイツで持続可能性を学べる学部:毒性学から観光開発まで

A growing number of study programmes focus on environmental protection and sustainability.
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「世界をよくする」学科が大学にあったら、よくない?残念ながらことはそう簡単ではない。しかしドイツには今、それに近い、持続可能性に関する様々な学部がある。選りすぐりをご紹介しよう。

ペトラ・シェーンヘーファー

環境毒性学:コブレンツ=ランダウ大学

タンカーの転覆や工場の爆発。毒が環境に侵入すると何が起こるのだろうか?英語で開講されるこの修士課程では、化学物質の自然への影響を扱う。環境化学と毒性学、生態学、社会科学、環境経済学を横断的に学ぶことができる。修了後は学術機関や研究機関、官庁や省庁、産業やコンサルティング会社などに進むことができる。
 

再生可能エネルギー:トリーア専門大学/環境キャンパス・ビルケンフェルト

風力、太陽光、バイオマス――再生可能エネルギーのセクターは今、ブームに沸いている。この課程の目的は、将来の生産工学技術者を育て、彼らや彼女らにこの分野で必要な技術的、経済的、法的、生態学的な知を授けることだ。それに加え、同大学の環境キャンパスは世界で唯一、ゼロ・エミッション(排出)キャンパスで、電気と暖房を全て再生可能エネルギーで賄っている。
 

危険予防学/ハザード・コントロール:ハンブルク応用科学大学

自然災害や化学事故などの危険な状況を予防する、あるいは事態が深刻化した場合に適切に対応できる、資格を持った専門家は社会でとても必要とされている。学生は工学の他に、災害対応やリスクマネジメント、防火に関する高水準の実用的な能力を身につけることができる。
 

環境自然学:フライブルク大学(アルバート=ルードヴィヒ大学)

水、土、空気、森、風景、そして人間に作られた環境がこの課程が扱う対象だ。環境生物学の専門教育は環境化学、環境物理学、環境法学と結びつけて行われる。修了後、学生はエネルギー転換関連、官民問わず環境保護分野、そして設計事務所や産業事業で働くことができる。
 

持続可能な農業・栄養学:ニュルティンゲン=ガイスリンゲン経済環境大学

増加し続ける世界人口には食料を供給し続けることが必要だ。この課程の中心に据えられているのは、世界的な栄養の確保、気候変動、環境保護、動物保護だ。学生は食料や生物由来の資源・エネルギーの製造、加工、配分の方法を探究する。修了後の就職先は栄養関連産業、銀行やコンサルティング会社、あるいは地方、全国、国際規模の団体や利益団体だ。
 

持続可能なデザイン/エコデザイン:アルフター・アラヌス大学

プラスチックを使わない持ち帰り用のカップや、発展途上国の工芸品の商品化。これは、将来のプロダクトデザイナーやコミュニケーションデザイナーのための課程だ。デザインアカデミーであるエコデザイン・ケルンとの協働のもと、学生は一方でクリエイティブで手工業的で美しい、デザイナーの能力を吸収する。他方でこの課程では生態学、経済学、そして社会や文化の次元をも養成課程に組み込んでいる。この学部には授業料がある。
 

持続可能な観光開発:ハイルブロン大学

今日ほど人間が移動していた時代は過去にない。しかし、移動は環境と社会に大きな影響を与える。ハイルブロン大学で観光学を専攻する学生は、公共経済学、マネジメント、地理学、法学の他に、持続可能性について学ぶ機会もある。修了後は観光団体、国際協力団体、あるいは国立公園のマネジメントといった職場で働くことができる。
 

異文化コミュニケーション:ケムニッツ工科大学

我々はインドの同僚とスカイプし、昼食にスシを食べにいき、出張先のイスタンブールでアメリカの音楽について話す。今日、人はどの文化に属していると言えるだろう?ケムニッツのこの学部では、アイデンティティを形成する様々な構造について学ぶことができる。学生は文化、言語、デジタル・コミュニケーション、モビリティ、さらには人種主義のメカニズムを学ぶ。様々な文化的観点に取り組むことで、マネジメントや国際的な企業の広報活動に携わる能力が身に付く。


都市環境学:ベルリン工科大学

将来の魅力的な都市はどのような姿だろうか?緑の多い街は住みやすいだけでなく、未来に適してもいる。学生は、都市開発をエコロジカルに行い、持続可能な都市のコンセプトを作り上げる専門家となる。そのために、この修士課程では環境研究とプランニング、環境技術を結びつけて学ぶことができる。
 

経済学・倫理学/ソーシャルビジネス:フェヒタ大学

貧困、世界的な不平等、そして気候変動は世界人口にとって重要な問題だが、世界市場はそれを解決へ導くどころか多くの場合先鋭化している。ヴェヒタ大学では、学生は経営学や経済学の基礎に加えて、企業倫理や企業の社会的責任(CSR)について学ぶ。学生は経済学的思考と社会貢献を結びつけることで、責任と利潤追求を両立する方法を学ぶ。