細川俊夫作曲オペラ『地震。夢』 世界初演

Erdbeben.Träume
© Oper Stuttgart

シュトゥットガルト歌劇場

細川俊夫が作曲を、マルセル・バイヤーがリブレットを手がけたオペラ『地震。夢 』(Erdbeben. Träume) が、2018年7月1日、シュトゥットガルト歌劇場にていよいよ初演を迎える。ドイツの作家、ハインリヒ・フォン・クライストの小説『チリの地震』(1807)に着想を得たこのオペラは、インテンダントのヨッシ・ヴィーラーと、彼の長年の共同演出家でドラマトゥルクのセルジオ・モラビトが同劇場で手がける最後の新作オペラとなる。音楽監督は、これまでも細川の多く作品の初演を指揮してきたシルヴァン・カンブルラン、舞台美術をアンナ・フィーブロックが担当する。

日本を代表する作曲家、細川俊夫はさまざまなジャンルで作品を発表しているが、その中でも人の「声」に対する興味という点でマルセル・バイアーと共通点を持っている。ビューヒナー賞やクライト賞など、ドイツの名だたる文学賞を受賞している作家のバイアーは、精緻で音楽的な筆致により、この悲劇的な出来事と、そこに張り巡らされた糸のような関連性を探し求める。オペラの中心となるのは、禁じられた愛によって結ばれたヨゼフェとジェロニモの夫婦、そして同じくドンナ・エルヴィーレとドン・フェルナンドの夫婦である。なお、ヨゼファとジェロニモの子であるフィリップが、口をきかない主人公として登場するが、それをハンブルクで活躍する女優の原サチコが演じる。

実際のオペラ制作が開始する前の2017年初頭から、東京ドイツ文化センターは作曲家細川の作品の理解を助けるため、研究者や音楽関係者などの専門家からなるチームを結成。何度も読書会を開いて、共にクライストの原作にさまざまな角度から取り組んで、理解を深めてきた。

同年4月にはシュトゥットガルトのチームが来日、震災に見舞われた福島の各地を尋ねている。こうして細川のオペラ最新作『Erdbeben. Träume』の基礎を共に築いたのである。
 

詳細

シュトゥットガルト歌劇場

Oberer Schloßgarten 6
70173

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