朗読会 イルマ・ラクーザ/多和田葉子:もっと、海を

もっと、海を © Pixabay

木, 12.04.2018

ゲーテ・インスティトゥート 図書館


アクセス
ドイツ文化会館内
107-0052東京都港区赤坂7-5-56 2F

「海は青で緑で碧青で鼠色で灰色で黒く、白くもあり薔薇色でもあり赤でもオレンジでも金でも銀でもあった。それは天空を映す鏡で、どの日もどこかしら違っていた。凪ぐことも縮れることも波立つことも逆巻くこともあった。それはいかなる定義をも拒んでいた。その変容する力を、捉え難さを愛することをわたしは学んだ。」(イルマ・ラクーザ『もっと、海を』日本語訳 2018)

言語の魅惑的な表現や文学の叙述的な異文化性は、作家イルマ・ラクーザ氏(スイス)と多和田葉子氏(ドイツー日本)の両者の作品で共通する要素だ。新本史斉氏が翻訳した、イルマ・ラクーザ氏の回想録『もっと、海を』の日本語訳(鳥影社、2018)から、ラクーザ氏の想起のパサージュをいくつか紹介する。日本語訳版のあとがきを書いた多和田葉子氏は、自身の詩的物語『つかのまの夕べのためのバルコニー席』を紹介する。続くトークでは、著名な両作家の作品執筆における、言語的および地理的境界の変容や突破などをテーマに議論を行う。『もっと、海を』は2016年にメルク「かけはし」文学賞を受賞した。ラクーザ氏、多和田氏による朗読会は4月11日(水)東京外国語大学でも行われる。

イルマ・ラクーザ © Giorgio von Arb イルマ・ラクーザ

イルマ・ラクーザ氏は1946年1月2日にリマフスカ・ソバタ(スロバキア)で生まれた。ブダペスト、リュブリャナ、トリエステに住んだ後、1951年に両親と共にチューリッヒへ移住した。1965年から1971年までチューリッヒ、パリ、サンクトぺテルブルクでスラブ学とロマン文学を学び、1971年から1977年まではチューリッヒ大学のスラブ学セミナーでアシスタントとして、その後は非常勤講師として働いた。

また、フランス語、ロシア語、セルビア・クロアチア語、ハンガリー語の翻訳を行っており、NZZ (ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング)や Die Zeit(ディー・ツァイト)の評論家でもある。さらにDeutschen Akademie für Sprache und Dichtungの会員でもある。現在はフリーの作家としてチューリッヒに在住している。とりわけ ヒエロニムス・リング賞 (1987)やシャミッソー文学賞(2003)、スイス書籍賞(2009)、マネス・シュペルバー賞 (2015) 、メルク「かけはし」文学賞 (2015)、最近では ベルリン文学賞(2017)で、翻訳家、作家として数多くの賞を受賞している。

多和田葉子 © Yves Noir 多和田葉子

多和田葉子氏は1960年に東京で生まれた。1982年から2006年までハンブルクに、2006年からはベルリンに住む。東京とハンブルクで文学を学んだ後、博士号を取得する。ドイツ語と日本語の散文や詩、小説、エッセイ、戯曲などを執筆する。ドイツでのデビュー作『Nur da wo du bist da ist nichts』が1987年に出版され、それから2015年までに21のタイトルをドイツ語で出版している。


とりわけ芥川賞(1992)やシャミッソー文学賞(1996)、谷崎潤一郎賞 (2003)、ゲーテメダル (2005) 、クライスト賞 (2016)など、数多くの賞を受賞している。さらに2018年には、ラインラント・プファルツ州の最も重要な文学賞であるカール・ツックマイヤー メダルを受賞する。
 
もっと、海を 表紙 © 鳥影社

原著者イルマ・ラクーザ氏と翻訳者の新本史斉氏の両氏が『Mehr Meer/もっと、海を』で2016年度メルク「かけはし」文学賞を受賞した
  

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