ディスカッション ヨーロッパはどこへいくのか?ドイツはどうなるのか?

Juergen Habermas © Nikolas Becker (bit.ly/2JRyFiZ), CC BY-SA 3.0 (bit.ly/313lKQa)

2019/06/18 (火)

ゲーテ・インスティトゥート東京 図書館


アクセス
ドイツ文化会館内
107-0052東京都港区赤坂7-5-56 2F

ハーバーマスのヨーロッパ論『デモクラシーか資本主義か』刊行に際して

現代世界で国際的に最も注目され続けている社会哲学者ハーバーマスは、多くの理論的著作と並んで、ドイツ政治やヨーロッパの将来についても発言をし続けてきた。24歳のときのハイデガー批判(1953年)に始まり、ナチの過去についての自己弁護論を批判した歴史家論争(1986年)、ドイツ統一の仕方についての批判的論文「ドイツ・マルク・ナショナリズム」など、その例は多い。

特に歴史家論争は日本でも大きな問題として受け止められた。そのハーバーマスは、アメリカによる第二次イラク戦争(2003年)の頃から、ヨーロッパ統合を深化させる必要性を訴えつづけてきた。この議論はリーマン・ショック(2008年)やギリシア危機(2009・2010年)、難民問題(2015年)を経て、さらに強まったが、右派ポピュリズムの台頭の前に、深刻な危機感も表明されている。

 そのハーバーマスが『ツァイト』紙や『南ドイツ新聞』などに発表したヨーロッパ関連のエッセイを集めた『デモクラシーか 資本主義か』が岩波現代文庫で6月中旬に発刊される。それを機会に訳者で社会哲学者の三島憲一氏(大阪大学名誉教授)と政治学者でドイツの政治や思想に詳しい野口雅弘氏(成蹊大学教授・2019年度シーボルト賞受賞者)が、ゲーテ・インスティトゥート東京のフォン・ゲーレンの司会で議論をする。

当日はたまたまハーバーマスの90歳の誕生日でもある。右派ポピュリズムにいかに対応するか、個々の国民のアイデンティティを維持しながらヨーロッパ共通の公共圏はいかにして可能か、国家公民でありながら、ヨーロッパ市民であるとはどういうことか、アメリカの単独行動主義、中国の膨張などにどのように対応するのか、などテーマも多岐にわたるが、最後には、日本で暮らす我々がこのヨーロッパをどう見るか、また東アジアの市民として、植民地国家の過去をひきずりながら、近隣諸国とどのような公共の議論が可能となるか、などがテーマとなるだろう。

Habermas/Mishima © Mishima 三島 憲一: ドイツ哲学者。ドイツ文学者、思想史学者。
大阪大学名誉教授、ベルリン自由大学名誉博士。東京大学教養学部教養学科ドイツ分科卒業。同大学院比較文学比較文化専攻博士課程。1968年から2013年まで千葉大学、東京大学助教授、学習院大学、大阪大学、東京経済大学教授。その間、1970年から1972年まで、1978年から1980年まで、DAAD並びにアレクサンダー・フォン・フンボルト財団の奨学生としてドイツでも活動。1994年から1995年までベルリン高等学術研究所フェロー。2002年より現在まで、フランクフルト大学社会研究所国際理事会理事。 2010年に、『ベンヤミン:破壊・収集・記憶』によって大阪大学より博士(人間科学)を授与される。彼は、東アジアのいわゆる批判理論の重要な理論家である。専門分野は広く、ハイデッガーやフランクフルト学派を中心にドイツ現代思想を研究する。フリードリヒ・ニーチェとウォルター・ベンジャミンにも造詣が深い。
1987年、フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞受賞、2001年、オイゲン・ウント・イルゼ・ザイボルト賞受賞。2011年、ベルリン自由大学から名誉博士号を与えられる。この式典での表彰式での賞賛スピーチをハーバーマスが行っている。
専攻:社会哲学・ドイツ思想史。
著書:『ニーチェ』(岩波新書)、『戦後ドイツ。その知的歴史』(岩波新書)、『ベンヤミン──破壊・収集・記憶』(講談社学術文庫),『歴史意識の断層──理性批判と批判的理性のあいだ』『ニーチェ以後──思想史の呪縛を越えて』(岩波書店)
訳書:ユルゲン・ハーバーマス『近代の哲学的ディスクルス』(轡田収、木前利秋、大貫敦子共訳)、ユルゲン・ハーバーマス『道徳意識とコミュニケーション行為』(中野敏男、木前利秋共訳 岩波書店)、ユルゲン・ハーバーマス『遅ればせの革命』(木前利秋、大貫敦子共訳、岩波書店)、テオドール・アドルノ『否定弁証法』(木田元,渡辺祐邦,須田朗,徳永恂,宮武昭共訳 作品社、1996年)、ユルゲン・ハーバーマス『近代:未完のプロジェクト』(岩波現代文庫)、カール・レーヴィット『ヘーゲルからニーチェへ(上・下)』岩波文庫、ユルゲン・ハーバーマス『真理と正当化』(鈴木直らと共訳、法政大学出版局)、ヴァルター・ベンヤミン、グレーテル・アドルノ『往復書簡』(鈴木直、伊藤白共訳、みすず書房)
など多数

Noguchi/Habermas © Noguchi 野口雅弘: 早稲田大学政経学部卒業、早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学、ボン大学哲学部博士号取得。
日本学術振興会特別研究員PD、早稲田大学政治経済学術院助教、岐阜大学教育学部准教授、立命館大学法学部准教授、ケーテ・ハンブルガー・センター(ドイツ・ボン)フェロー(Käte Hamburger Center for Advanced Study in the Humanities "Law as Culture")、立命館大学法学部教授、2017年4月より成蹊大学法学部教授。
専門:政治学、政治思想史、現代政治理論
著書:Kampf und Kultur: Max Webers Theorie der Politik aus der Sicht seiner Kultursoziologie, Berlin: Duncker & Humblot (2005)、『闘争と文化――マックス・ウェーバーの文化社会学と政治理論』みすず書房(2006)、『官僚制批判の論理と心理――デモクラシーの友と敵』中公新書(2011)、『比較のエートス――冷戦の終焉以後のマックス・ウェーバー』法政大学出版局(2011)、『忖度と官僚制の政治学』青土社(2018)
訳書:クラウス・オッフェ『アメリカの省察――トクヴィル・ウェーバー・アドルノ』法政大学出版局(2009)、ヴォルフガング・シュベントカー『マックス・ウェーバーの日本――受容史の研究1905‐1995』みすず書房(2013)(共訳)、マックス・ウェーバー『仕事としての学問 仕事としての政治』講談社学術文庫(2018)

 

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