映画 建築家たち

建築家たち © DEFA-Stiftung / Christa Koefer

5月17日(木) 18:30

シネ・ヌーヴォ 

監督・脚本 ペーター・カハーネ/1990年/102分

ダニエルは30代後半の建築家。バス停留所などの設計を手がけるかたわら、建築コンペに応募したりしている。そんなある日、ベルリン郊外に建設が予定されているアートセンターの設計を依頼される。待望のビッグプロジェクトを成功させるため、かつての仲間を召集して張り切るダニエル。しかしメンバーは一人また一人とチームを去り、最後に残ったのは大学を卒業したばかりの新人二人を含むたった7人。7人は夢を実現すべく、レストランや売店、文化施設、遊技場、緑地帯を備えた斬新なセンターを設計する。数々の困難に見舞われながらも全力で仕事に打ち込むダニエル。そんな中で大勢の人が東ドイツを離れ、最後にはダニエルの家族までもが、彼を残して西へと去ってゆく。旧態依然とした規制がチームを悩ませ、ようやく着工したときには、当初の設計図は見る影も無くなっていた。

東ドイツ最末期に制作されたDEFA劇映画の一つ。社会主義体制のほころびを厳しく勇敢に批判する。1989年9月に撮影を開始、ベルリンの壁崩壊に至るまでの東ドイツ社会の混乱状況の中で完成した貴重な作品。当時の若い芸術家たちの自己実現の苦悩と悲痛な叫びを、美しい映像を通して感じ取ることができる。

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