クリスティアン・ペッツォルト監督の映画『未来を乗り換えた男』が、2019年1月、いよいよ日本公開される。ドイツの作家アンナ・ゼーガースが1942年に亡命先のマルセイユで執筆した小説『Transit』を、現代に置き換えて映画化。2018年のベルリン国際映画祭で大きな話題となった。
『未来を乗り換えた男』
監督：クリスティアン・ペッツォルト、2018年、ドイツ／フランス、102分
ドイツ軍の迫るパリを逃れ、ゲオルクは港町マルセイユに辿り着いた。鞄には、迫害の不安に耐え切れず自殺した作家ヴァイデルが遺した原稿、手紙、メキシコ大使館からの入国許可証が入っている。 受入れ国となる渡航先の査証を持った「また出てゆく者」だけに、この港町に滞在することが許されていた。ゲオルクはヴァイデルのアイデンティティを盗み、限られたチャンスを掴み、渡航を試みる。小さなホテルの廊下や、領事館の待合室、港のカフェやバーなどで、ビザや亡命先行きの船をめぐる移民同士の会話が繰り広げられる。ゲオルクは、逃亡中に亡くなった同志ハインツの息子ドリスと交友を深める。ある日、ミステリアスなマリーに出会ったゲオルクは、計画の変更を迫られる･･･。
ドイツ人作家アンナ・ゼーガースが亡命中に執筆した小説『トランシット』に基づいた作品。過去からやってきた人物の舞台となるのは現在のマルセイユである。当時の難民が今日の難民と出会い、歴史と現在が中継港で交錯する。
祖国を逃れ、他人の人生を手に入れた男。退路も進路もない逃避行に、終着点はあるのか･･･。ユダヤ人がナチスの理不尽な迫害を受けた戦時中の悲劇と、祖国を追われた難民をめぐる問題が深刻化している21世紀の今の状況を重ね合わせた野心作。
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