Utopia.de よりよい世界のための消費を

消費者には力がある。消費者は「賢い」消費行動によって世界を救うとまではいかなくとも、世界を持続的に改善することができる。そのために消費者は持てる力をどう使えばいいのだろう。Utopia.de はそれを紹介するインターネットポータルサイトだ。最近では、企業からも関心が寄せられている。
Utopia.de のサイトを見れば、このサイトの運営者が、現状に異を唱える世直し気取りの人々や、消費社会を頑固に否定する人々ではなく、プロの編集者であることが一目でわかる。オリジナリティーあふれるコンテンツ、プロフェッショナルなデザイン。マルチメディアも豊富に使われている。そして著名な俳優アクセル・ミルベルクが、ビデオメッセージの中で、なぜ彼が第一子の誕生を機に「ウトピスト」、つまりこのサイトの会員になったのかを語る。「私は自分の人生を楽しみたいと思っています。でも、未来を犠牲にしてまで楽しみたいとは思わないのです」。
「私たちのサイトは、エコロジーをテーマにしているサイトらしくは見えません。それが狙いなのです」とクラウディア・ランガーは言う。ランガーは Utopia.de を立ち上げ、20 人のメンバーと共に、この一年足らずでコンテンツを揃えた。「私たちは、人生の何かを変えたいけど、これまではそう考えていただけで何もしてこなかった、という人たちに働きかけたいのです」とランガー。「すべてをあきらめなくても、できることはある、と伝えたいのです」。
やましい気持ちはもう過去のもの
Utopia.deは、その「できること」がどうすればできるのかを紹介する。エコ電力を供給する会社からサービスを受けよう、「アウトドアガイド」を手に森に出かけよう、持続可能なバカンスをしよう、地域の農家で買い物をしよう、などなど。「私たちは、みんなに良心の呵責を感じてほしいわけではないのです」とランガーは言う。むしろUtopia.de がめざしているのは、やましい思いをせずに消費できる良質で持続可能性のある製品を企業が作り、販売することなのだ。「もちろん消費行動が世界を救えるわけではありません」とランガー。「でも、それがひとつの始まりであることは確かです」。
Utopia.de は2007 年 11 月以来、ネット上で活動している。開設から8 ヶ月のうちに、会員の数は 17,000 名に増加。さらに毎日 100 ~ 200 名の新会員が加わっている。「ウトピスト」と呼ばれる会員になるためには、サイト上の「ウトピストになる 」というボタンをクリックするだけだ。写真を載せるか載せないか、また自分の情報をどれだけネット上に公開するかは、会員が各自自由に決めることができる。会員の「ウトピスト」の多くは、比較的高学歴・高収入で子供がいる人たちだ。彼らにとっては、消費をあきらめる、という選択肢は存在しない。しかし彼らは自分の健康と、自分の子供がいずれ暮らすことになる世界のありかたに、強い関心を持っている。マーケティングの専門家は、高収入で健康と持続可能性に関心があるというタイプの人々の存在をかなり以前から把握しており、「ロハス」(「Lifestyle of Health and Sustainability、健康的で持続可能な生活スタイル」) という名称で呼んでいる。
「企業に『グリーンウォッシング』をさせるつもりはない」
クラウディア・ランガー自身、明らかにこのグループに属している。40 代始めのランガーは、広告業界で長年成功を収めており、3 人の子供を持つ母親でもある。しかし彼女にとって、Utopia.de とは高収入の人々をターゲットにしたサービスという以上のものだ。「私は政治的な人間なんです。自分もいつか責任を果たさなければならない、という信念がありました。ずっと、広告業界で学んだ事をいつか生かそうと考えていたのです」。今のところ、Utopia の運営メンバーはこのサイトで収入を得てはいない。サイトの運営は寄付金や協賛、このサイト以外の活動によってまかなわれている。長期的には広告収入を得たいというのがメンバーの希望だが、これまでのところ広告収入はわずかしかない。広告を出すことによって Utopia.de のユーザーグループに接近したいと関心を抱く企業は多くある。しかし編集部の基本方針はゆるがない。「協力を申し出てくる企業の8割に対しては、持続可能性のある生産をおこなっていないという理由でお断りを入れています」とランガー。「私たちはここで企業に『グリーンウォッシング』させるつもりはありません」。
消費者をもっと知ってほしい
「ウトピスト」の共同体が急速に拡大したことは、ランガーとチームのメンバーにとっては驚きだった。「もちろん、何かが起こっている、ということは感じていました。でも、社会を広く巻きこむこういう動きに、私たち自身が関わることになるとは、思ってもいなかったのです」。さらにランガーを喜ばせているのは、マスコミ関係や広報担当者、ロビイストや政治家のような、オピニオンリーダーや政策決定者が多数Utopia の会員であることだ。世論に対して強い影響力を持つこのようなグループに対しては、企業も関心を向けてくる。「環境運動にこれまでほとんど関わりのなかった企業が私たちにコンタクトをとってきて、消費者が今、どのような製品を買いたいと思っているか、そしてその傾向がこれからどうなっていくと思われるかを知りたがっています」とランガーは言う。「世論に影響力を持つものとして、私たちは企業と同等の立場に立っています。だからこそ注目を集めるのです」。だからといって Utopia.de は企業のご機嫌をとるつもりはない。 Utopia.deのパートナーのなかには、フライブルクのエコ研究所やヴッパータール気候研究所のような中立機関が含まれている。さらに編集部は、原子力利用に明確に反対の立場をとっている。しかし個々の企業を攻撃するようなことはしない。「私たちは対立やスキャンダルに効果があるとは思いません。それよりも社会的なパワーや経済的なパワーをすべて束ねて、よい方向への変化を魅力あふれるものにしたいのです」とランガーは述べる。「多くの人が、これからもよいクルマに乗りたいと考えています。しかし同時に、そのクルマがもっと環境に配慮したものになることも望んでいます。一昔前には想像もつきませんでしたが、たくさんのことが今、両立しはじめているのです」。
西ドイツ放送(WDR) の科学ジャーナリスト、ケルン・ドイツ航空宇宙センター ( DLR) の編集者として活躍
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2008 年 8 月














