ゲーテ・インスティトゥート総裁、カローラ・レンツ講演 多極化する世界への対応

Foto: Goethe-Institut / Loredana La Rocca Foto: Goethe-Institut / Loredana La Rocca

2022/10/25 (火)

17:00 - 18:15

ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川、ホール

ゲーテ・インスティトゥートの活動の歴史と現在の課題について

私たちは、不平等で、権力の不均衡な世の中に生きています。一方では、権威主義、全体主義、非自由主義が多くの国で台頭し、民主的、自由主義的国家の外交政策に新たな形で課題を突き付けています。ロシアによる残忍な軍事侵攻は、このことを改めて示しています。

また他方で、グローバル・ノースとグローバル・サウスの非対称性という克服すべき課題があります。旧植民地の文化的・政治的エリートたちは、植民地時代の遺産や歴史の問題を取り上げ、植民地時代に獲得・盗難された文化財の返還を要求し、包括的な脱植民地化を求めています。グローバル・ノースに暮らすさまざまなディアスポラや少数民族にも同じ動きがみられます。

このようなポストコロニアルな状況、そして戦争と権威主義、抑圧が渦巻く世界情勢の中で、ゲーテ・インスティトゥートのような北に軸足を置きながら全世界で活動する組織や、国際文化政策は、どのような役割を果たすことができるのでしょうか。

この特別講演では、ゲーテ・インスティトゥート総裁で、民族学者のカローラ・レンツが、ゲーテ・インスティトゥートの歴史と現在のプロジェクトを紹介しつつ、国際文化交流の課題と可能性についてお話します。

講演会の後は、レセプション交流会を行います。レセプション中、スペースデザインカレッジの学生有志の設計による茶室を庭園に設置しています。

この講演は、京都日独協会の特別講演として開催されます。



カローラ・レンツ (Prof. Dr. Carola Lentz) 略歴
ゲオルク・アウグスト大学(ゲッティンゲン)とベルリン自由大学で社会学、政治学、ドイツ語、ドイツ文学、教育学を学ぶ。1987年にハノーファー大学で博士号を取得し、1996年にベルリン自由大学で大学教授資格(Habilitation degree)を取得。
1996年から2002年まで、ゲーテ大学(フランクフルト・アム・マイン)の民族学教授を務める。2002年から2019年までヨハネス・グーテンベルク大学(マインツ)で人類学の教授職に就き、2019年から上級研究教授を務めている。ドイツ社会文化人類学会会長(2011~2015年)、ベルリン・ブランデンブルク科学・人文アカデミー副会長(2018~2020年)を歴任。客員教授やフェローシップにより、フランス、オランダ、アメリカ、南アフリカに滞在。Wissenschaftskolleg zu Berlin(ベルリン高等研究所)のフェローとして、「西アフリカにおける家族史と社会変動」に焦点をあてた研究グループを主導(2017-2018年)。研究テーマは、エスニシティ、ナショナリズム、植民地主義、記憶の政治学、南半球の中産階級、労働移動など。南米での調査を経て、1987年からは西アフリカで定期的に調査を行っている。著書に『Land, Mobility and Belonging in West Africa(未邦訳:西アフリカの土地・移動・帰属)』(2013)、『Remembering Independence(未邦訳:独立を記憶する)』(2018)、『Imagining Futures: Memory and Belonging in an African Family(未邦訳:未来を想像する:アフリカの家族における記憶と帰属)』(2022)などがある。
 

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