ワークショップ
Risiko und Idiotie
モニカ・リンクの戦い ―詩とその意義―
モニカ・リンク氏の詩は、思考をかき回していきます。様々なものからインスピレーションを得ている彼女の詩は、作家の博識さを物語っており、キルケゴール、ロラン・バルト、アラン・バディウ、テオドール・W・アドルノ、オウィディウス、パウルス・ベーマー、ハインリヒ・フォン・クライスト、ゲオルク・ビュヒナーほか多くの作家が、リンク氏の言語芸術の中に観念的に流れ込んでいます。リンク氏の詩には繰り返し、一見全く異質なものが並存しており、例えばある詩の中でデータ状況(Datenlage)という言葉は、背負いカゴ(Gartentrage)に変わります。氏の作品の中では、確かな認識というものが揺らいでいきます。様々な意味を持つ新たな言葉が作り出される混乱の中に、確かなものだと錯覚していた世界は消えていきます。詩は疑問を投げかけ、知覚は刺激的な感覚の中で拡張していきます。
モニカ・リンクによるワークショップ
日時:2016年11月17日(木) 18:15
会場:早稲田大学 33号館16階
山本 浩司准教授の指導のもと、論駁書と副題のつけられたエッセイ集『Risiko und Idiotie』について、学生と作家のモニカ・リンク氏で意見交換を行います。
『Risiko und Idiotie』では、詩的言語の可能性、詩学的な姿勢、思想の将来に対する哲学的な考察、私的言語の見事な越境や巧妙な荒唐無稽さまで取り上げられています。
モニカ・リンク
1969年ツヴァイブリュッケン生まれ。大学で宗教学、ドイツ文学、比較文学を学ぶ。現在フリーの作家としてベルリンにて活動中。以前は複数の専門領域にまたがって、境界を越えて繋いでいくような活動をしており、詩人やエッセイストのほか、活動グループ「Das Lemma」にも所属し、また共同生活を追ったリアリティショー『Le Pingpong d’Amour』にも俳優として出演していた。
インターネット上でワークインプログレス形式で行っている「begriffsstudio」では、私たちが普段メディアで見聞きする、新たに作り出された目を引く概念や言葉を模索している。2015年に自身の全作品に対し贈られたクライスト賞を始め、これまで多くの賞を受賞している。