オンライン・リーディング(Youtube 無料配信)
『ハート泥棒』 作:ボン・パーク
翻訳・上演台本・演出:原サチコ
ドイツ演劇界新世代を牽引する劇作家で演出家のボン・パークによる最新作『ハート泥棒(原題 Die Räuber der Herzen)』(2020)が、この度オンライン・リーディングとして、ドイツでの世界初演に先がけて日本で紹介されます。
本来の世界初演は2020年秋、ハンブルク・ドイツ劇場で予定されていました。ドイツがまさにコロナのロックダウンの時期、演出家と俳優たちがさまざまな葛藤をかかえながら稽古を行い作り上げた作品ですが、劇場閉鎖のため公演は中止、今年秋に同劇場で改めて初演の日を迎えることになっています。
今回のオンライン・リーディングで、この作品の翻訳とリーディング台本、そして演出を手掛けるのは、ドイツのオリジナルキャストで、ハンブルク・ドイツ劇場専属俳優の原サチコさんです。
そして演じるのは、日本のみならず世界各地から応募してきた260名の中から選ばれた10名の俳優たち。さまざまなバックグランドを持つ彼らがその個性を最大に発揮して、ドイツの最先端の演劇作品に挑みます。いったいどんな化学反応が生まれるのか、だれにも予測ができません。
出演:阿久澤菜々 梅村綾子 忍翔 (おしょう) 菊池夏野 クーセギ・マーチャーシュ 櫻田将平 溝口悟光 峰一作 三明真実 森山冬子(50音順)
音楽協力:森山冬子/映像協力:富樫 凛/制作統括:横堀応彦
本リーディングはハンブルク・ドイツ劇場の特別な許可を得て実施されます。
作品について
『ハート泥棒 (Die Räuber der Herzen)』は、ドイツ演劇の古典、1781年に発表されたシラーの『群盗 (Die Räuber)』を原作に、2001年のスティーブン・ソダーバーグ監督の映画『オーシャンズ11 (Ocean’s Eleven)』を織り交ぜたボン・パークによるオリジナル作品です。そこには、18歳で『群盗』を書いた若き劇作家シラーへのオマージュとともに、コロナ禍の時期、ドイツの若者たちが抱える葛藤や考えも反映されています。
シラーはゲーテと並ぶドイツ二大文豪で、ドイツの義務教育で今も必ず読まれています。『群盗』の執筆をシラーが始めたのは1779年、彼が厳しい寄宿舎生活を送っていた時で、政治経済が停滞する18世紀後半のドイツにあって、自由と正義を希求するシラー自身の信念が主人公に強く投影されており、1782年の初演時には、舞台を見て失神しそうになった客がいたというほど、熱狂的な反響を巻き起こしました。
一方の『オーシャンズ11』はジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、ジュリア・ロバーツといったハリウッド・スターが名前を連ねるギャング映画の王道です。
そのほか、サティスファイング・ビデオ、Netflixドラマ、アニメ、日本の80年代シティポップなど、ボン・パークのアンテナに引っかかるポップカルチャーが古典作品と重なり合い、シラーの時代から250年近く経つ、今の時代ならではの群盗像を描き出しています。
(本作品は、ゲーテ・インスティトゥートの「演劇分野の翻訳助成」によって日本語に翻訳されました。)
ボン・パーク (Bonn Park)
原サチコ
関連企画
配信に際して、6月25日(金)、26日(土)に分けて、出演者、専門家、演劇人が参加する大・座談会が別途実施されます(日独同時通訳付き)。詳細は各プログラムのリンクをご覧ください。
6月25日(金)19時~21時『ハート泥棒 』大座談会 DAY1
日独俳優ガチトーク「ボン・パークとシラーと芝居やってる私たち」
参加者:ドイツ・オリジナルキャスト(原サチコ他ハンブルク・ドイツ劇場専属俳優数名)と日本側リーディング出演者、司会・伊達なつめ
6月26日(土)19時~21時30分『ハート泥棒 』大座談会 DAY 2
「『群盗』と『ハート泥棒』と“疾風怒濤“・ドイツ文学者と日独演出家たちからの視点」
登壇者:アニカ・シュタインホフ(ハンブルク版『ハート泥棒 』ドラマトゥルク)、原サチコ、津田保夫(大阪大学)、丸山達也(獨協大学)、三輪玲子(上智大学)、小山ゆうな(雷ストレンジャーズ代表、演出家)、田中孝弥(清流劇場代表、劇作家・演出家)、司会:萩原健(明治大学)
7月4日(日)19時~21時『ハート泥棒』大・座談会 Day 3
ボン・パーク&山本卓卓 ー 原サチコが紹介する日独若手演出家
司会:岩城京子(演劇批評家、アントワープ大学演劇パフォーマンス学専任講師)