上映会
3 x Berlin

ICH ICH ICH (Regie: Zora Rux) © Jesse Mazuch, BORROWED SCENERY (Regie: Shirin Sabahi), ZHALEIKA (Regie: Eliza Petkova)
ICH ICH ICH (Regie: Zora Rux) © Jesse Mazuch, BORROWED SCENERY (Regie: Shirin Sabahi), ZHALEIKA (Regie: Eliza Petkova)

ヴィラ鴨川滞在中の映画監督3人による上映会

ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川、ホール

ベルリン在住で、現在ヴィラ鴨川滞在中の映画監督3人が、それぞれの作品を上映いたします。各作品の上映後には、監督と直接ご交流いただけます。
 

15:45   開場
16:00~17:30頃 『SECOND THOUGHTS』監督:ツォーラ・ルックス
    休憩 & 交流(30分)
18:00~19:00頃
 
『BORROWED SCENERY / 借景』 
『MOUTHFUL』監督:シリン・サバヒ
    休憩 & 交流(30分)
19:30~21:00頃 『ZHALEIKA』監督:エリツァ・ペトコヴァ
    交流(30分)


16:00~17:30頃
SECOND THOUGHTS

監督:ツォーラ・ルックス、フィクション、85分、2020年、
音声:ドイツ語、字幕:日本語・英語  

恋人のユリアンに突然プロポーズされ、すっかり混乱したマリーは、頭の中を整理するため、逃げるように田舎に行く。しかし、そこでは静けさを得るどころか、彼女の脳内思考がなぜか擬人化した『想像人間たち』と出会いびっくり仰天する。赤ん坊の名前を列挙する母親、サリー姿のメランコリックな詩を書く女性、木によじ登る元カレ、などなど・・。彼らは皆、ひっきりなしにマリーに話しかける。そこにユリアンが彼自身の『想像人間たち』を引き連れて現れると、事態はさらに混沌とした状況に・・。
本作品は、恋人との関係を通して「本当の自分」を探す模様をユーモラスに描いたシュールな物語である。


18:00~19:00頃
BORROWED SCENERY / 借景 Shakkei 

監督:シリン・サバヒ、ドキュメンタリー、15分、2017年、
音声:日本語・英語、字幕:英語

MOUTHFUL  
監督:シリン・サバヒ、ドキュメンタリー、36分、2018年、
音声:ペルシャ語・日本語、字幕:英語

彫刻家・原口典之(1946-2020)は1977年、長方形の鉄製容器に廃油を満たした彫刻「物質と精神(オイルプール)」を同年ドイツで開催されたドクメンタ6に出展し、その後、同作を設置するためにテヘラン現代美術館(TMoCA)に招かれた。美術館の中央広場に設置されたこの彫刻は、来館者が何年にもわたり、建物の特徴である螺旋状のスロープを下りる際にコインなどを投げ入れ続けたことで、図らずも「願いごとを叶えてくれる井戸」になっていった。シリン・サバヒの映像作品は、原口のこのミニマリズム彫刻をめぐる歴史と、作品がたどった不思議な運命を主題としている。
続き TMoCAの作品設置から40年後、サバヒは岩手のアトリエで原口と対面した。この出会いに触発された「借景」(2017年)は、原口の静かな肖像であり、日本の「もの派」の芸術運動としばしば一致する彼の美学的哲学、素材の選択、TMoCAへの作品委嘱の物語について論じている。タイトルは、周囲の風景を庭の構成に取り入れる東アジアの造園技法「借景」にちなんでおり、ある特定の場所が芸術そのものと一体化するその特徴は、原口のオイルプール作品にも不可欠な要素である。
 
続く「Mouthful」(2018年)で、原口はサバヒの招きにより、作品の修復を監修するためにTMoCAを再訪する。その過程を淡々と記録したこの映像作品は、オイルプールの姿を記録したものだが、この彫刻作品自体が来館者の思い出の品々を現在進行形で飲み込み続けている記憶装置である。「Mouthful」は、この修復プロジェクトなしにはあり得なかった出来事を誘発することでアートの可能性を引き出し、この修復作業の手段と目的に同時になり得ている。

サバヒのこの2作の静謐な映像作品は、芸術が宗教などの信仰体系と近しいものであるかを仄めかしつつ、芸術研究というものがいかに他のアーティストと協働したり、ある国の歴史や、グローバリゼーション以前にも存在した国際主義と向き合うことができるかを示している。


19:30~21:00頃
ZHALEIKA
 
監督:エリツァ・ペトコヴァ、フィクション、92分、2016年、
音声:ブルガリア語、字幕:日本語・英語

17歳の少女ローラは父親の死に直面する。時が止まったかのようなブルガリアの小さな村では、家族も村人も彼女が父の死を悲しむと思っていた。これから先、彼女は黒い服を着なければならず、音楽を聴くことも許されず、さまざまな喪の儀式に従わなければならない。それでもローラは青春を謳歌したいと願う。しかし彼女の願いは、父を亡くした遺児という立場を強いる周囲の視線によって阻まれる。


 

詳細

ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川、ホール


京都市左京区吉田河原町19-3
606-8305 京都

料金: 入場無料
申込不要