映像展示 空音央、細谷修平、Collaborative Cataloging Japan

空音央「Paralogoscope」 © Neo Sora

06.05
17:00-21:00

07.05.-15.05
10:00-18:00

ゲーテ・インスティトゥート東京, ホワイエ

unrest 62|22

unrest 62|22の映画上映(2022年5月、8月)にあわせて、アメリカ合衆国における産業推進に関連する映像アーカイブを用いて、映像というメディアとその産業構造や歴史を批評的に描いた映像作家の空音央とアルバート・トーレンのZakkubalanによるビデオ・インスターレション「Paralogoscope(不条理鏡)」を紹介します。また、美術・メディア研究者、映像作家の細谷修平、戦後日本の実験映画やビデオアートの修復保存、データベース化を行うアメリカのCollaborative Cataloging Japan(CCJ)による日本の映像作家、写真家、美術家、パフォーマンス・アーティスト(加藤好弘、岩田信市、小山哲生、末永蒼生、平田実、中島由夫、糸井貫二、出光真子、飯村隆彦)へのインタビュー映像を展示上映します。


空音央

Paralogoscope(不条理鏡)、2019年、24分ループ
Zakkubalan(空音央+アルバート・トーレン)

Paralogoscope(不条理鏡)は、様々な広告、プロパガンダ、産業推進を目的としたフィルムを用いている。それはアメリカが描く繁栄の輝かしい表層を表すイメージであり、それらの映像をリアリズムや空間の連続性による黄金期ハリウッドの編集技法によって歪め、映像のルーブ・ゴールドバーグ・マシンを構成したものだ。論理がないところに因果の継続性を持たされたこれらの映像は、無意味な行為の永続的な配列、終わりのない非在の地点に導かれ、連続しループされたシークエンスへと結実する。
#全ての動画はPrelinger Archiveの許可のもとに使用されています。

空音央:東京とニューヨークを拠点に活動する映像作家、美術家、翻訳家。短編映画、ドキュメンタリー、PV、ファッションビデオ、コンサートフィルムなどを数多く監督、撮影、制作。「The Chicken」(2020年)は、ロカルノ国際映画祭でプレミア上映された。アーティスト・フィルムメーカー集団「Zakkubalan」とクリエイティヴ集団「Lunch Bee House」の2つのコレクティヴに参加している。後者では、ドキュメンタリー映画とアートプロジェクト『AINU NENO AN AINU』(2021年)の撮影と共同監督を務めた。

Zakkubalan:空音央とアルバート・トーレンによるニューヨークを拠点としたアーティストデュオ。写真と映画の合間を交差するアート作品を制作している。両名ともアメリカ、コネチカット州のウェズリアン大学を卒業した。トーレンはIFP(Independent Filmmaker Project)の2017年度Marcie Bloom Fellowに選出されている。これまでにワタリウム美術館、草月アートセンター、セゾンアートギャラリー、2017 Reborn-Art Festival、piknic (韓国)において作品を発表している。

細谷修平

加藤好弘(美術家/ゼロ次元)、2015年、10分 
撮影:細谷修平
編集:細谷修平、中西レモン
映像提供:日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ

岩田信市(美術家/ゼロ次元)、2015年、14分
撮影:細谷修平
編集:細谷修平、中西レモン
映像提供:日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ

小山哲生(美術家/ビタミンアート)、2008年、9分
撮影:細谷修平
編集:細谷修平、中西レモン

末永蒼生(アートセラピスト/告陰)、2019年、16分
撮影:細谷修平
編集:細谷修平、中西レモン
映像提供:日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ

平田実(写真家)、2008年、9分
撮影:細谷修平
編集:細谷修平、中西レモン

中島由夫(美術家/アンビート)、2014年、8分
撮影:細谷修平
編集:細谷修平、中西レモン

糸井貫二(前衛芸術家/ダダカン)、2008年、25分
撮影:細谷修平
編集:細谷修平、中西レモン

今回展示されるのは、戦後日本において肉体によるパフォーマンスを展開した前衛の表現者たちへの聞き取りの記録である。一回性のパフォーマンスは作品として残ることがないため、当時の記録写真や記録映像がその姿を残す重要な痕跡となる。一方で、具体的にどのような思想と行動のプロセスをもってそれらが行なわれたかについては、当時の記録だけでは捉えることが難しい。そのため、2000年代以降、当事者による口語りを映像によって記録してきた。一つのできごとであっても、各人によって捉え方や感覚は異なるものであり、それぞれの語りによって、一つのできごとが立体的に立ち現れてくる可能性がそこにはある。また、口語りは文章で書かれるものとは異なり、話し手と聞き手の対話によって、アクチュアルに生成される物語りである。映像記録はその時間と空間あるいは場所性を捉えていると言えるだろう。当事者の語りの魅力とともに、映像によるアート・ドキュメンテーションから、記録表現が織り成す可能性を感じ取っていただきたい。(細谷修平)

今回の映像展示では、日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴから提供された映像を一部使用し、許可を得て細谷修平、中西レモンが抜粋・編集しています。オーラル・ヒストリーは、語り手が個々の記憶に基づいて口述した歴史です。時として、客観的な事実に反する記述や、立場や価値観などの違いによって意見が分かれる事柄についての発言が含まれることがあります。このようなオーラル・ヒストリーの特徴をご理解いただいた上でご覧下さい。日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴの映像と音声記録は基本的に未公開です。
http://www.oralarthistory.org/

細谷修平:美術・メディア研究者、映像作家。1960年代の芸術と政治、メディアを研究テーマとし、アーティストの活動に関わる聞き取りや調査、記録を通して、アート・ドキュメンテーションを行なっている。また、写真家・平田実をめぐるHM Archiveやゼロ次元・加藤好弘アーカイヴを運営するほか、国立アジア文化殿堂(韓国・光州)などの機関と共同し、戦後日本前衛芸術に関するアーカイブ活動に取り組んでいる。日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴのメンバーとしても活動し、東日本大震災を経て、記録と芸術についての考察と実践を継続している。和光大学客員研究員。
 

Collaborative Cataloging Japan(CCJ)

インタビュー:出光真子、2021年、29分、制作:Collaborative Cataloging Japan
インタビュー:飯村隆彦、2017、23分、制作:Collaborative Cataloging Japan

CCJが、研究、修復保存プロジェクトのなかで行なった映像作家、美術家の出光真子、および映像作家の飯村隆彦へのインタビュー。出光は、1962年にニューヨークに移住してからの活動や映画制作、帰国後におけるビデオアートとの関わりについて、飯村は、エクスパンデッド・シネマを中心に、1971年の日独現代音楽祭に出品された「デッドムービー」などについて語っている。どちらもウェブサイトに配信されている。
https://www.collabjapan.org

Collaborative Cataloging Japan:2015年、アメリカ合衆国・フィラデルフィアに設立された非営利団体。戦後日本の実験映画とビデオ作品(1950年〜1980年代)の保存とその情報への国際的なアクセスの提供を行う。研究者や映像アーキビストとパートナーシップを組み、ファンドレイジングのもとでコレクション・サーベー、修復保存プロジェクト、アーカイブ機関への寄贈、研究論文のコミッション、展覧や上映会を通した発表を行う。またそれらの情報を、CCJのウェブサイト、オンライン・ストリーミング、データベースなどで公開している。



 

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