演劇リーディング 『モノ』

VISIONEN ドイツ語演劇リーディング・シリーズ第6回

Visionen
ドイツ語演劇リーディングシリーズ「VISIONEN」の第6回目は、2011年にハンブルクで初演され、各メディアでも話題作品として大きく取り上げられたフィリップ・レーレ (Philipp Löhle) の最新喜劇『モノ』を上演します。

この世に偶然の産物なんてない。世界中で起こるすべての事象は、それぞれに関連しているし(これをグロバリゼーションと呼ぶ人もいる)、つながっている。フィリップ・レーレの『モノ』がそれを証明してくれる。
アフリカの青年シワが摘んだ綿の一片が、中国の青年実業家リーによってつむがれてTシャツに加工され、船でドイツに輸出されると、結婚生活に飽き飽きして、自らが出演するポルノショーをネットに投稿するカトリンの身にまとわれる。ラップトップの画面に流れるその動画をはるか遠く離れた中国で見たリーは、彼女に恋焦がれてドイツにやってきて、今シワから買った銃を手に持ち、綿が織り込まれたTシャツ(カトリン)の前に立っている。

これは大きな世界で起こっている些細な出来事から生まれるごく一部の体験にすぎない。嫉妬に露出狂、皮肉屋の美術評論家にルーマニアの精肉業者、深刻なトラウマにリアルに24時間おこる人間の運命を、95分間のうちに、小さいな出来事から大きな出来事に、浴室から綿花畑に、ネットの世界から現実へ、アフリカからアジア、そしてヨーロッパへと飛び移って描く。

作: フィリップ・レーレ
訳:  寺尾格
演出:  村上慎太郎(夕暮れ社 弱男ユニット)

Philip Löhle
作家について ― フィリップ・レーレ(Philipp Löhle)
1978年ドイツ南西部の町ラーヴェンスブルク生まれ。エアランゲンとローマの大学で歴史、演劇・メディア学、ドイツ文学を専攻。学生時代の2005年にエアランゲン劇場で初めての作品“KAUF-LAND“が上演される。卒業後はベルリンでテレビ、映画関係のインターンとして経験を積み、短編やドキュメンタリー映画も発表。2006年からバーデン・バーデン劇場で演出助手を務めながら、2007年に“Genannt Gospodin“を執筆、同作はドイツ工業連盟の奨励賞を受賞。2008年秋からはベルリンのマキシム・ゴーリキー劇場(ベルリン)座付き作家。“Lilly Link oder Schwere Zeiten für die Rev“では2008年、ハイデルベルク・シュトゥッケマルクト(戯曲市場)で審査員賞を受賞し、2012年には„Das Ding“でミュールハイム演劇祭の観客賞を受賞している。


劇団について ― 夕暮れ社弱男ユニット
2005年村上慎太郎の個人ユニット「弱男ユニット」を結成。
砂浜や劇場ロビー、ライブハウス、会議中の事務室前など劇場外での公演を数多く行う。2008年それを前身とし、さらに活動の場を広げていくためにメンバーを募り、「夕暮れ社 弱男ユニット」と名前を改める。過去作品には、観客が舞台上にあげられ、先ほどまで座っていた椅子が目の前で俳優の手によってぶん投げられながら物語が展開していく「現代アングラー」(大阪市主催CONNECT vol.2優秀賞受賞/2008年)や、 劇場の真ん中に客席を設置し、俳優がその客席の周りをグルグルと廻り続け演じるという独自の方法でデモ行進する人々を描いた「教育」(大阪市立芸術創造館/2010年)や、俳優が地面を終始、転がりつづけながら青春群像劇を演じた「友情のようなもの」(2012年/元・立誠小学校)などがある。

 

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