トーク #STUDIO202X シリーズ2 :第1回「自由かそれとも生命の保護か」

Staffel 2 Studio202X 2-1 © Goethe-Institut Tokyo

2020/06/05 (金)

20:00 - 22:00

民主主義の未来

民主主義に立脚した各国の憲法は、個人の身体の安全に対する権利と自由の尊重を定めているが、新型コロナウイルス感染の拡大の結果、これを両立させることが難しくなっている。憲法が保障する生存権を守るため、多くの国家は外出を禁止し接触制限を設け、企業活動を停止し、公共機関を一時的に閉鎖した。新型コロナウイルス感染対策の緩和が始まってから、欧米を中心に、こういった自由の制約を民主主義の崩壊として捉えて批判する人が増えている。

ここで問われるのは、例えば、将来の危機管理のためには、基本的人権である「生存権」と「自由の権利」のどちらかをより重視するのかということだ。このような議論の論点をどう扱うべきなのか、そして議論の結果下された決定は民主主義の見地からどう正当化されるのか。危機の時代に市民社会の多様性を守り、社会的少数派の意見を社会の議論の中で可視化し保護するためには、何が必要なのか。合意形成に向けての民主的なプロセスを危機の時代に保つためには、どのような戦略が必要だろうか。

これらの問いについて、津田大介氏が伊藤和子氏(弁護士、ヒューマンライツ・ナウ事務局長)、萱野稔人氏(哲学者、津田塾大学教授)とクリストフ・メラース氏(法学者、ベルリン・フンボルト大学教授)をゲストに招き、議論していく。
 
視聴中の方も、ゲストへの質問を投稿することで、ディスカッションに参加することができます。

ゲストのプロフィール

伊藤和子
1994年弁護士登録、以後、女性、子どもの権利、えん罪事件、環境訴訟など、国内外の人権問題に関わって活動。2004年に日弁連の推薦で、ニューヨーク大学ロースクールに客員研究員として留学。帰国後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に対処する日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウ(Human Rights Now)の発足に関わり、以後事務局長として国内外の深刻な人権問題の解決を求め、日々活動している。同団体の主な活動範囲は、女性や子どもの権利擁護、ビジネスと人権に関する問題、アジア地域の人々の自由と尊厳の擁護、紛争下の人権問題など。弁護士活動でも人権、特に女性の権利を焦点に置いて活動。日弁連両性の平等に関する委員会委員長、東京弁護士会両性の平等に関する委員会委員長を歴任。

萱野稔人
1970年、愛知県生まれ。パリ第十大学大学院哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は哲学、社会理論。津田塾大学教授として大学で教鞭をとる一方、コメンテーターとしてテレビやラジオでも活躍。『暴力はいけないことだと誰もがいうけれど』(ともに河出書房新社)、『権力の読みかた――状況と理論』(青土社)、『新・現代思想講義―ナショナリズムは悪なのか』(NHK出版)、『成長なき時代のナショナリズム』『暴力と富と資本主義 なぜ国家はグローバル化が進んでも消滅しないのか』(ともに角川書店)、『哲学はなぜ役に立つのか?』『社会のしくみが手に取るようにわかる哲学入門(ともにサイゾー)、『死刑 その哲学的考察』(筑摩書房)などがある。

クリストフ・メラース
ベルリン・フンボルト大学法学部教授(公法・法哲学)およびベルリン高等研究所常任研究員。その研究分野はドイツおよび欧州の憲法学、比較憲法学、民主主義理論や社会規範理論に及ぶ。これまでミュンスター大学とゲッティンゲン大学公法学教授、ニューヨーク大学エミール・ノエル・フェロー、ベルリン高等研究所研究員、ブダペスト・中央ヨーロッパ大学、プリンストン大学、パリ第二大学などにて客員教授を歴任。 2011年から2014年までベルリン・ブランデンブルク上級行政裁判所の非常勤判事を務めた。2016年ドイツ研究振興協会 ゴットフリート =ヴィルヘルム・ ライプニッツ賞受賞。

今後の配信予定: 

第2回:「危機の時代における社会制度と民主主義」
6月12日(金)20時~22時   

第3回:「揺らぐ公共性とメディアの役割」
6月19日(金)22時~24時  

第4回:「芸術文化と民主主義」
6月26日(金)20時~22時  

日本語・英語同時通訳付き二か国語配信

配信チャンネル
facebook.com/goethe.institut.tokyo (英語)
twitter.com/GI_Tokyo (日本語)
https://www.youtube.com/user/goethetokyo(日本語)


#Studio202Xについて
#Studio202X は、ジャーナリストの津田大介氏の協力により、ゲーテ・インスティトゥート東京がFacebookとTwitterで配信するトーク番組。シリーズ1は4月に4回に分けて配信された。 コロナの感染によって私たちが日々直面した新たな問題や課題に立ち向かうため、#studio202Xは、コロナがもたらす実際的な危機の克服というレベルの向こうにある、この世界的感染症の新たな地平に視線を向けた。6月に始まる#studio202Xシリーズ2のテーマは「民主主義の未来」である。

コロナの感染によって、民主主義の政治的・社会的な仕組が継続的な「ストレステスト」にさらされるようになっている。ロックダウンに伴ってもたらされた接触の制限や外出禁止によって、一時的ではあっても、世界各国で多くの人々が民主的な自由や社会参加の権利の制限を初めて経験することになった。民主主義は、ウイルス感染を抑制しつつ、同時に民主主義の本質である市民の政治参加や言論の自由をどうやって維持できるだろうか。どのような条件下なら、コロナ危機の後、民主主義という仕組を新たに見直すことができるだろうか?#Studio202Xのシリーズ2では津田大介氏が、哲学、社会学、心理学、法学などの分野から招いた国内外のゲストとの議論を通じて、この問題の核心に迫ってゆく。


 

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